もうすぐ8月。
お盆に長期の休転を控えている工場も少ないことでしょう。
そこで、今回はそんな工場の夏休み、長期休転の間に防虫管理上すべきことについて、お話します。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

夏季長期休転は、またとない虫駆除のタイミング

長い梅雨があけて、いよいよ夏本番。
お盆休みももう、すぐそこです。
日配品を製造している食品工場などは難しいかもしれませんが、お盆中に工場の稼働が止まる、というところも多いかと思います。
実際、私達もこうした長期休転に合わせて工場内の殺虫施工をお願いされることもよくあります。
そこで今回は、長期休転時に防虫管理で何をすべきか、についてのお話です。
これを読めば、業者に依頼せずとも、自分達で対応が十分可能になるでしょう。

ということで。
お盆などの夏の長期休転は、虫が増えるこの時期に本格的な駆除施工ができるまたとないタイミングです。
逆にこのタイミングを逃すと、夏の間はしばらく問題解決の時期を逃すことになりかねません。
また怖いのは、問題を残したまま休転に入った場合、問題が深刻に進行することだって、十分にあり得るということです。
例えば、粉溜まりでの貯穀害虫や、チャバネゴキブリなど。
これらの発生源を清掃もせずそのままにしていたら、休み明けに昆虫が大発生していた、なんてことにもなりかねないでしょう。

さらに、こうした長期の休転時には工事業者が立ち入ることが多いものですよね。
設備の改修やら電気工事、配管工事、或いはラインの入れ替え、メンテナンスなどなど。
外部業者が入れば、それだけ汚染が進みます。
彼等は衛生管理のプロではありませんから、それらを完璧に求めるのはなかなか難しい。
作業が大がかりであればあるほど、作業人工が多ければ多いほど、外部扉の開放時間や持ち込みも増加します。
また時によっては搬出搬入のため、普段使わない製造室内の大扉を開放する、なんてことも。
そうすれば外部環境の汚染を一気に場内に取り込むことになります。
製造室内の汚染は外部と変わらなくなるし、虫だって勿論侵入する。

こうしたことに対応するため、折角の長期休転をうまく活かして、工場の防虫管理レベルを維持していきましょう。
後にゆっくりお話しますが、カビや穀粉から虫が発生している工場は、このタイミングこそが要です!!

長期休転中に何をすべきか

各工場によって問題は違うでしょうが、大きく分ければ防虫管理上、長期休転中にすべきことは次の2つしかありません。

長期休転中にすべきこと
  • 内部発生昆虫対策:内部発生昆虫の駆除と生息源除去
  • 外部侵入昆虫対策:場内侵入昆虫の駆除による清浄度のリセット

 

これらについて一つずつお話します。
なお、昆虫の内部発生と外部侵入については、別(↓)の記事を参考にしてください。

 

まずは内部発生昆虫対策を

まず、製造が止まって徹底的な駆除施工が出来るこの時期だからこそすべきこと。
それは内部発生昆虫の駆除です。
特に先にも書きましたが、カビや粉から虫が出ている場合には、夏季の長期休転はそれらを駆除するのにこのうえないタイミングです

ただし、ここで一つ抑えるべき重要な点があります。
この内部発生昆虫駆除というのは、「生息している虫の駆除」と「発生要因の除去」とに目的が別れます。
そしていずれにしても、「清掃・洗浄」と「駆除施工」の二つが必要であり、どちらか一つでは効果がないということです。

この話、何度も出してますけれど、薬剤を散布すれば全ての虫が殲滅して死んでくれる、と思いこんでいる素人さんは非常に多いですが、はっきり言ってそんなムシのいい話はありません。
(虫だけに!笑)
第一、何もない水槽のような中に薬剤を充満させるのではないのですから、薬剤が工場の全域あらゆる奥部にまで浸透してくれることなど全くありませんし、生息している全ての虫に対しての致死量の薬剤が届くなんてこともありません。
加えて卵には薬剤は効果が全くないですし、粉溜まりや水中などに潜り込まれたら薬剤の効果は極端に低くなります。
(ていうか、効きません)
ですから、どんな薬剤を使い、どんな腕のいい駆除業者でも生息している虫の7割駆除できたら、まあ一般的に御の字といったところじゃないでしょうか。
ましてや、発生要因があるのにそれを放置して、薬剤だけ散布すれば虫の問題が片付くなどというのは、申し訳ありませんが、余りに甘い話としか言いようがない。
そんなことしたって、生き残りがまた増えてすぐに問題がぶり返しますよ。
生き物相手ってそんな簡単じゃないんです。

おっと、話が少し反れ懸かったので戻します(汗笑)。
この時期だからこそ、「清掃」と「駆除」を行って、問題を根底から取り除きましょう。
工場内に実際に発生し、生息している虫を「駆除施工」で極力取り除き、生き残りの虫とその生息要因を「清掃・洗浄」で取り除きます。

長期休転中の内部発生昆虫対策とは?
  • 発生源の除去:清掃・洗浄
  • 発生昆虫の駆除:薬剤散布

 

いいですか、必ず清掃・洗浄による発生源の除去を一緒に行ってください。
問題解決のレベルが全く違います。
なお駆除施工については、後ほど、どんな虫にどんな薬剤を使えばいいのかをお話しますね。
大丈夫、ネットなどで普通に手に入る薬剤で出来ますから。

侵入昆虫を殲滅してリセットさせよう

こちらは比較的判りやすい話かと思います。
大扉などの開放をしてしまった。
業者の出入りが激しく、汚染が拡散してしまった。
こうした場合、作業後に薬剤を散布し、侵入した昆虫を駆除します。
「リセット殺虫」、などと呼ばれる駆除施工種です。

これらによって工場内に多量侵入した昆虫は、工場内の環境下で繁殖することができる内部発生可能種でなければ、個体数を増やすことなく、やがて死にます。
つまりそのうち個体数が減っていくわけなんですが、問題なのはいつどこで死ぬか判らない、ということです。
少なくとも数日は工場内を移動し、生息していることでしょう。
また内部発生が可能かどうかは、全くわかりません。
もしかしたら可能な種かもしれない。だったら一刻も早く、繁殖する前に駆除しなければいけない。
こうした虫を駆除するために、「リセット殺虫」を行うのです。
一時的に大量の侵入が生じてしまった場合には、非常に有効な手段です。

ただし。
「リセット殺虫」とは、今そこにいる虫しか駆除出来ません。
「リセット」後、再びドアやシャッターなどを開けて入ってくる虫には当然効果がありません。
隙間や排水に繋がる経路などがあって、そこから虫が侵入している。こんな場合です。
つまり日常的に外部侵入が多い工場が、休転中にこのような駆除施工を行ったとしても気晴らしでしかなく、ほとんど効果はない、ということです。
このことを余りよく理解されていない向きが時折あります。
「この間薬剤散布したのに、もう虫がいる」
そりゃそうです、だって根本的な解決をしてないのだから。

どんな駆除施工をすればいいのか

専門の駆除業者であれば、こうした場合、しばしばガス剤などを使います。
炭酸ガスなどの気体に薬剤を混合させたものを散布し、場内を殺虫剤でくまなく満たすのです。
住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社さんのミラクン、などが有名ですね。
場合によっては、安価なミスト(霧)剤などでもいいかもしれません。
いずれにせよ、問題エリアを薬剤で満たす、という薬剤施工を行います。


住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社

ですが、画のような作業は、一般の方にはちと専門すぎる敷居の高い作業でしょう。
そこで、一番手っ取り早いのは、燻煙剤を使うことです。
そう、「バルサン」とか「アースレッド」などが有名な、煙でモクモクにして虫を駆除する、アレです。
これらの中にはプロユースのものや家庭用以上のものがありますので、それを選ぶといいかと思います。
各メイカーともに、効果はいずれもそう大きく変わりません。

こうした燻煙剤は、通常稼働時には使えないでしょうが、長期休転なら使用できる、ということもあるでしょう。
ただし、ドアや食材に触れる箇所には養生が必要です。
尤もそんな徹底しなくても大丈夫。その代わり、休み明けにはしっかり水拭きしてください。

それと、燻煙剤は専門的な駆除技術がなくても効果にほとんど差し障りがない、というメリットもあります。
何せ、ただ床面に置いて、散布するだけですから。
ですから、作業上のコツ、というようなものは余りないのですが、取りあえず、出来るだけ個数を増やして数カ所に分けて散布するほうがより広がっていいかと思います。

ただし、燻煙剤というものは皆さんが期待しているほど部屋の奥の細部にまで至ってくれるものではありません。
多くの薬剤は、上部に吹き出され、そのまま落ちてくる、ほぼそんなイメージだと思ってください。
機会の内部や裏側、配電盤などの内部などにまで至ることはほとんどないでしょう。

燻煙剤で駆除できる昆虫

では、こうした燻煙剤はどんな虫に効果があるのでしょうか。

燻煙剤で駆除できる虫の代表例
  • 内部発生している食菌性昆虫(チャタテムシ類、ヒメマキムシ類、トビムシ類、ダニ類など)
  • 内部発生している貯穀害虫(シバンムシ類、ヒラタムシ類、メイガ類など)
  • 内部発生しているチャバネゴキブリ
  • 外部侵入した飛翔性昆虫
  • 外部侵入した歩行性昆虫(クロゴキブリなど)

 

うーん、こんなところかな。
特にカビや粉から内部発生している昆虫の駆除は、これが一番手っ取り早い。
何故なら、これらの虫の活動はかなり広範囲に及んでいる場合が多く、また発生要因を除去しても成虫を減らすことが難しいからです。

例えば、カビから発生するチャタテムシ類は、コバエ類のように幼虫が徘徊していて「ほらここが発生要因ですよ」というわけではなく、広くカビに生息しています。
だから、局所的にカビを除去したって別のカビにまた移動し、今度はそこで生息を続けます。
穀粉から発生するシバンムシ類も、結構そういうところがある。
日常的に多量に穀粉を使う工場で、さあ穀粉を全部一粒残らず除去しろ、と言われても土台ムリな話でしょう。
カビも同様ですね。そういうときにこそ、こうした駆除が有効性を発揮するのです。

その他、内部発生しているチャバネゴキブリにも「ある一定の効果」はあるでしょう。
その場合、例えばコールドテーブルの蓋や配電盤などを開けて、薬剤が浸透しやすい状態にさせることが必要です。
ただし、燻煙剤だけで駆除しきれるとは思わないほうがいいでしょう。
余りに増えすぎた個体数を一時しのぎでもいいから減らしたいというのであれば、それも一手かとも思いますが、チャバネゴキブリには基本的にはベイト剤による駆除が一番効果的だと思います。
これらは以前に詳しく書きましたので、そちら(↓)をご覧ください。

なお、チョウバエ類やノミバエ類など、排水由来などのコバエ類については、効果を期待しないほうがいいでしょう。
というか、燻煙剤ではこれらの問題は解決しません。
だって排水に由来しているのだから、問題は排水にあります。
ですからその発生源を何とかするべきです。
そもそもコバエ対策は、基本的に排水に生息している幼虫対策がメインです。
燻煙剤でいくら場内を浮遊している成虫を駆除したところで、確かにその成虫は死ぬでしょうが、排水の中の幼虫や卵や蛹には全く効果がないので、1週間後にまた成虫が浮遊することになります。
(※1)

まとめ

今回は夏季の長期休転にすべき薬剤施工についてお話しました。
要するに、カビと穀粉から発生している昆虫に悩まされている工場は、このタイミングで燻煙剤を用いて駆除施工と、そのための清掃をするといいよ、というお話です。
ぶっちゃけ、こうした場合、エイヤ!と燻煙剤処理(&場内清掃)をしてしまうと、結構ワンシーズンくらいは持ったりもします。
同じ悩みを抱えている工場さん、この機会に試してみてはいかがでしょうか。

 

※1:余りに個体数が多すぎる場合には、成虫への減数対策としても有効でしょうし、床下などの入りずらいところへの殺虫対策として、成長抑制剤の入った燻煙剤を散布する、というのはそれなりに有効かとは思います

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