日々腕を磨いているプロが教える、技あり防虫対策&衛生管理。
今回はどこの工場でも問題になりがちな、段ボール包材の床置き防止対策。
何度言ってもきかない現場には、これがお薦め!というワザを教えます。
これを知るだけで、工場内の防虫対策、衛生管理は効果絶大間違いなし!

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

段ボールの床面への直置きが危ない理由

段ボール包材の床面への直置き。
これ、割と見る光景です。

「すぐ廃棄するからいいんだよ」
成る程、それはどこで誰がどう管理しているんですか?
こう言うと答えに窮する工場がほとんどです。

こんな状況、貴方の工場はみられませんか。
うちは大丈夫、という工場。
さすがです、しっかり指導が行き届いてますね。
うちもあるかもしれない、という工場。
実はそういうところ、結構多いんです。
他の管理がしっかりされているのに、何故か段ボールの床置きだけスルーされている、そんなところは少なくありません。
では、そもそもこれの何が一体いけないのか、どこがどう危ないのか。
これ、実は世にそれほど知られていません。

そもそも段ボール包材を使わない工場はかなり少ないと思います。
軽くてしかも頑丈、丈夫で第九世は高く、加工も簡単でしかも安価。
包装材として段ボールほど優れたものはそうそうないからです。

段ボールには、厚紙の間に波状の紙(中芯)が挟まれていますよね。
「トラス構造」といって、あれが衝撃の緩衝材となり、また軽さのもとにもなるんです。
そもそも、段ボールの構造はこうなっています。

このように中芯の箇所(フルート)に虫が入った場合、除去は不可能です。
そして得てして虫はこのようなところに入り込む。

それから、段ボールはどうやって作られるか知っていますか?
実はこれ、古紙がほとんどです。
つまり古い段ボールやその他の紙を集めて、再生紙として作り直すのです。
そしてそれに至るために製紙工場では何段階にもわけてパルプ液を「ワイヤー」と呼ばれるバカでかい布のようなコンベアに薄ーく何度か吹き付けて、幾層もの紙の層を重ねることで作る。

さて、このように段ボールの紙は大体6~7層になるように、つまりは6~7回はパルプ液を吹き付けて作っているのですが、当然パルプ液だけではうまいこと重ならない。
そこで「のり」をパルプ液の中に混合するんです。
つまり、パルプの薄い層同士をノリで貼り合わせるんですね。
「のり」ってのは主成分は、「でんぷん」です。
つまり、結果から乱暴に言えば、段ボールというのはそもそも「パルプ」と「でんぷん」で出来ている。

段ボールを古紙で作っている多くの製紙工場は、どこも皆虫に困っています。
いや、製紙工場が虫に困るのはよくあることなんですね。
というのも、このパルプ液を乾燥させるのに、どえらい熱量が必要になります。
だから乾燥工程で大規模に高熱を使うので、それを排気するためにどうしても差圧が陰圧に傾きやすく、工場内に虫を吸い込みやすい。
しかし段ボール製造工場においては、(それもないわけではないけれどそれ以上に)違うもっと深刻な違う悩みを、その多くが抱えている。
そう、古紙を扱う段ボール工場は、他の製紙工場と違って虫の内部発生がハンパじゃないのです。
それこそ、とんでもない量の昆虫混入が発生しており、しかもその99%が場内での内部発生。
何故か。
栄養素の高い「でんぷん」のパルプ液は、得てして昆虫の発生要因に滅茶苦茶なりやすいからです。

鋭い方は、この話から何かお判りになるかと思います。
そう、「でんぷん」と「パルプ」で出来ている段ボールは、水に濡れると昆虫の発生要因になりやすいのです。
更に、中の中芯だって、ノリで貼り付けている。
どういうことか想像が付きますね。
床面に置いた段ボールが水を含む。
栄養価が高いでんぷんが溶けると、様々な虫の生息要因になる。
このことは、段ボールの製造工程を知らないとわからないことなので、ほとんど世に知られていません。
プロも然りです。
しかも段ボールは構造上、非常に水や湿気を吸いやすいし、保温性もいい。
ホームレスなどを考えれば、紙の保温性てのがバカに出来ないことがわかるでしょう。
栄養価は高い、水を吸いやすい、保温性も高い。
当然ながら、(虫の餌になりやすい)微生物やカビの温床にもなりやすい。
さあ、ここまでくれば昆虫の生息条件はバッチリこの上ない。
更にリスクを並べるならば、床に直置きすることで劣化が進行し、紙粉の堆積や紙片の異物要因化、なんてことも考えられるでしょう。

段ボール包材の床面直置きがいけない理由
  • 床面に生息している昆虫の付着、営巣化
  • 床面のゴミや汚れ、異物の付着
  • 吸水によるカビ
  • 吸水による昆虫発生
  • 劣化による紙片の異物要因化
  • 紙粉の堆積

 

どうでしょう。
例えば下のような状況がいかに危険か。
もしこれが工場内だったらどんなリスクがあるか。
これをこのまま工場に持ち込んだらどうなるか。
少し考えてみるといいと思います。

昆虫の持ち込みは何故起こるか

このことだけではありません。
段ボールはしばしば、昆虫の「持ち込み要因」、「生息要因」になります。
上のような「トラス構造」、中芯の波状のことをフルートといいますが、このフルートに入った昆虫はヒトに気づかれず、工場に出入りします。
ここに一旦入った昆虫は、除去されることはまずありません。
そうして、包材業者にいる虫を持ち込んだり、また工場内の床面に生息している昆虫を段ボールの中に入れたまま取引先へと向かうことになります

段ボールで「持ち込み」「生息要因」になりやすい虫
  • チャバネゴキブリ
  • クロゴキブリ
  • チャタテムシ類
  • ヒメマキムシ類
  • ダニ類
  • トビムシ類
  • クモ類
  • アリ類
  • その他歩行性昆虫

 

上は私が長年の間、段ボール由来で問題を見てきた昆虫です。

まずチャバネゴキブリは、大概、資材や包材と一緒に工場に持ち込まれます
屋外で生きられないので、こうやって付着して持ち込まれて、生息場所を増やすのです。
段ボールの中は、チャバネゴキブリの生息箇所の定番中の定番です。


Wikipedia

それからクロゴキブリ。
この幼虫は数ミリと、実は非常に小さい。
雑食のクロゴキブリは、段ボールのノリも食べます。
小さくて狭くて温かいところが大好きなクロゴキブリにとって、段ボールの中は格好の生息箇所です。
この問題は幼虫で越冬しようとする秋に、比較的問題が起こりやすい。


Wikipedia

チャタテムシ類、てご存じですか?
非常に小さなカビなどを食べていきている虫です。
このチャタテムシ類のうち、ハネのないタイプ(無翅)のチャタテムシ類は、カビが好物なため、紙のノリの部分にもしばしば生息しています。
よく、古い本を本棚から出して読んでいると、ページの間から何やら白くて小さな虫が出てくることないですか?
あれがこいつ。
英語では”BOOKLICE”、本のシラミ、と呼ばれているものですが、つまりこいつはそれだけ紙のノリにいることが多いんです。

また、カビやすいということは、カビを餌にする食菌性昆虫も発生しやすい、ということになります。
ダニ類やヒメマキムシ類の発生要因が段ボールであることも十分に考えられることでしょう。

その他、意外と多いのがクモです。
クモは、実は大きく徘徊性のものと営巣性(造網性)のものに分けられます。
いわゆる蜘蛛の巣を張って獲物を捕らえる、一般的なクモのイメージが営巣性(造網性)のタイプ。某旅団のタトゥーも、これ(笑)。

一方、自分で歩いて獲物を捕らえるのは、徘徊性のクモ。
ハエトリグモのようなものですね。
こういうクモは、移動能力も高く、垂直移動も意外と得意で、潜伏も好きで、持ち込みも多いから本当に厄介。
だから工場の割と奥部まで侵入し、段ボールを置いていると、そこにすぐ潜り込む。
そこで段ボールへの混入が多くなる。

またアリは集団でフェロモンを出し合いながら集団移動します。
いわゆるアリの行列です。
だから多量で問題が生じやすい昆虫なのです。
床面に置いてある包材にアリが入り込む場合、そのように多量で見つかるケースは少なくありません。
例えば、保管していた段ボールがアリの巣になっていた、といったことをほんの数年前、某大手食品容器工場さんで経験したことがあります。(実話です!)

これらのいずれも言えることは、「床に段ボールを直置きしている」ことで生じる問題がほとんどです。
だから防虫管理上、段ボールの床面への直置きは避けるべきなのです。

なかなか治らない包材直置き問題

このように、段ボール包材の直置きにはリスクがつきまといます。
にも関わらず、直置きが治らない工場が、結構多い。
これは何故でしょうか。

品管さん自身、上のようなリスクをしっかりと踏まえていない、知られていない。
まず一点、これがあるかと思います。
成る程、こりゃしっかりやらんと、というリスクとして把握されていない。
当然、現場への指導も、それほど強くされない。
これ、結構多いです。
まずは上のことをしっかり読み込んで、そのリスクについて学ぶことです。

一方、現場としてはどうでしょう。
面倒臭い。
ヒトがルールを守らない最大の理由ですね。
覚えがあることでしょう。

では、どうすればいいか。
そこでプロのワザ。
しっかりと置く場所を明確にしながら、かつ「面倒臭」くなければいいのです。
こりゃ便利だ、となればいいのです。

これを使おう包材直置き対策

「パイプ棚」、「パイプラック」ってご存じですか?
樹脂製のパイプを組み合わせて、ラックや台などを自在に造れる。
「amazon」でも「楽天」でも、「塩ビ パイプ 棚」などでうまく検索すれば結構出てきます。
例えば、こういうものです。

これは某工務店さんが別の用途の目的で造ったものですが、このように依頼すれば造ってもらえるでしょうし、また頑張れば自作もそれほど大変でもないはず。

これ、工場内で結構使えて便利です。
サイズや色やタイプなどは幾らでも組み合わせが効く。
下にホイールを付けてあげれば、移動もラクチンになる。
樹脂だから軽いし、ざざっと洗浄してあげられるし、サビない。
だから金属混入にもならないし、ウェットでも次亜使用環境下でも使える。
しかも上に箱などを置いて、作業用に色々使い回せる。
こんな便利なものを使わない手はありません。
あ、スチール製のはやめましょう。あれ、すぐサビます。
塩ビのものが断固、お薦め。

で。
これを薄め腰下くらいの高さに組み上げて、段ボール置き場として作ってあげる。
これだけ。
例えば、上の画像の台車。これ、もう少し下に中板を設置してはどうでしょう。
出来たらもう少し工夫して、中板や側面などを「X」状にして段ボール剤が落ちないようにしてあげたり、プラ段などを張りとなおベター。
下の段には受け皿などを設けて、紙粉や付着した汚れを受けるようにするなんてのもいいですね。
何ならラミネート表示もしてあげてもいいかもしれませんね。
「段ボール包材保管用棚」とかね。

どうですか?これ、よくないですか?
ホイールで移動もしやすくしてあげれば、わざわざ床にどんと置くより便利でしょうし、冒頭の写真のように、ライン真横に立てかけられることもなくなります。
実はこれ、実際の現場でも使い勝手がいいと、殊更に評判です。
便利でラクなら、ヒトは自ずとそちらを選ぶものであることは、皆様もよく日々でご理解していることでしょう。

更にはこのワザ、応用が利く。
例えば、格子状のものを貼り付けて組み上げれば移動式の清掃用具掛けにもなりますし、工具入れの台車にしてあげれば、わざわざ工具をそこらにぽいぽいチョイ置きされたり、工具箱を床面に置かれずに済みます。
その他にも貴方の工場に合った使い方はきっと多いはず。
あ、一点だけ注意。
ホイール部です。ここ、結構カビが付着する。だからアルコールなどを吹き付けやすいようにしてあげてください。

まとめ

今回はパイプラックを使った床置き対策をご紹介いたしました。
上にもあるように、色々と使い方が豊富ですから、直置き対策のみならず一度使ってみるといいかと思います。
また次回も、プロだけが知る知恵や知識、ワザをご紹介していきますのでお楽しみに!

■□貴方の工場・店舗で悩んではいませんか■□
・どうやって防虫管理・衛生管理をすればいいか判らない
・今やっている防虫管理・衛生管理が正しいか判らない
・何か問題が発生したときの対応が判らない
・取引先や保健所の査察が不安だ
・でも余りコストもかけられない
だったら貴方が防虫・衛生管理のプロになればいいのです!

高薙食品衛生コンサルティング事務所にようこそ
  • 私達は、どんな工場、お店の方でも防虫管理・衛生管理のプロレベルに育成することが出来ます。
  • 何故なら、防虫管理・衛生管理のプロとは、基礎知識に加えて「正しい管理の仕組み」を作れる能力を持つ者のことだからです。
    この「管理の仕組み作り」を知るこそが、防虫管理・衛生管理のプロへの道なのです
  • そんな防虫管理・衛生管理のプロを育成し広めることで、日本の「食の安全安心」を、さらにより広く、より高くさせることが私たちの使命だと信じています
  • どうですか?
    そんな防虫管理・衛生管理のプロにあなたもなって、本当の「食の安全安心」を私達と一緒に広げていきませんか?