「IPM」については、以前記事を書いたことがあります。
現在の工場の防虫管理の主流はこの「IPM」。
ですが、意外と知られていないことが多いのが実状です。
そこで今回は、この「IPM」についてもう少し深く掘り下げていきたいと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

IPMとは

今回のテーマは「IPM」です。
近年の食品工場での防虫管理の主流は、この「IPM」なのです。
ですがどうも今ひとつ、深い理解をされていない。
それを踏まえてこのブログを始めた初期の頃に書いたことがあるのですが、もう少し詳しくそれを深めていこう、というのが今回の目的です。

さて。
「IPM」とは、「Integrated Pest Management」の略で、日本語で言うと「総合的有害生物管理」という意味になります。
これについては日本ペストコントロール協会さんの見解が最も分かり易いでしょう。

以前同様、こちらにある説明を以下、引用させていただきます。

「総合」とは、様々な防除対策を組み合わせて行うという事で、薬剤偏重による環境への悪影響を低減すると共に、より効果的な防除を目的とした手法です。

具体的には、予め防除対象生物や場所ごとに「維持管理基準」を定め、事前調査により問題点や維持管理基準を超える場所をその都度見定め、状況に見合った最適な防除対策を実施し、実施後にはその効果をきちんと判定します。

要するに、薬剤での駆除だけに頼らず、様々な防除対策を組み合わせて行うこと。
そのために事前調査を行って状況を知り、基準を設けて対策を実施し、終わったら効果判定して評価をしなさいね、と言っているわけです。

IPMのポイント
  • 事前に環境調査を行って、現状を把握する
  • 目標の基準を設定する
  • 様々な防除対策を組み合わせる(薬剤だけの駆除対策に頼らない)
  • 事後に環境調査を行って、効果判定する

 

これらを踏まえて管理するのが、「IPM」です。
まず第一に重要なのが、「薬剤での駆除対策に頼らない」ということです。
勿論薬剤を使用してもいいのですが、それだけではなく総合的な対策を複合的に行いなさい、というのが「IPM」です。
そしてそれを行う根拠として、事前調査を実施し、またその効果のために事後にも調査をしなさい、ということです。

長らく日本の防虫管理は、殺虫剤を散布することがメインでした。
私の体感では、少なくとも90年代半ばくらいまでは、そのような対策こそが防虫管理だとされていたのです。
薬はまいてなんぼ。
大手PCO企業で現場を回っていた私も、その当時はそのようなものだと思っていましたし、そもそも企業自体それが当然といったような状況でした。
虫がいようがいまいが、定期的に薬剤を散布する。そういう時代でした。

それが変わってきたのは、90年代終わりあたりのこと。
食品メイカーでHACCPなどが取り上げられ、衛生管理のレベルアップが計られてきた頃の話です。
その頃から、工場の防虫管理が薬剤散布から「モニタリング」を主幹としたものへと移っていきます。
つまり状況を継続的に監視し、状況を評価し、問題があれば是正する、という方法です。
その流れの中で、「IPM」も培われてきました。

「IPM」に必要なこと

では「IPM」を行うには、どのようにすればよろしいでしょうか。
私は、「IPM」とはどういうことかを説明するのに、この図を最近ではよく使います。

これこそが「IPM」だ、と少なくとも弊社は考えています。
幾つか重要な事柄が込められているのですが、それを上の「IPMのポイント」に沿いながら、以下「IPM」における要素について解説していきましょう。

事前の環境調査による現状把握

左のピンク点線がそれにあたります。

「IPM」においては、まず事前の環境調査を行って、問題の実状を適確に把握することが求められます。
これによって何がどのくらい問題となっているかを最初に明かにしておく、ということです。
これは「管理」という上で当然の話です。
「防除」というのは病院の治療のようなものだと考えてみてください。
何の診断もしないまま、いきなり手術する医者はいませんよね。
工場の防虫管理も同じです。
まず現状がいいのか悪いのか。
その「評価」が最初にあって、では何がどう「問題」なのか。
では、その「要因」は何なのか。
そして、それに対しての「対策」がある。

これを踏まえない対策は、ただの当てずっぽうでしかありません。
「IPM」も同様です。
何かを防除対策するためには、それに基づくための「評価」「問題」「要因」を示せ、といっている。
だから、事前調査で「何が、どのくらい問題で、その要因は何か」を示せ、という「事前の環境調査」があるわけです。

維持管理基準の設定

右下のピンク点線がそれにあたります。

防虫管理、つまり「有害生物管理」は、「管理」(MANAGEMENT)です。
IPMも、総合的な有害生物の、「管理」(MANAGEMENT)です。
「管理」(MANAGEMENT)である以上、何のためにやるのかという「目的」と、そのためにどのくらいを目指すのかという「目標」と、そのために何をどうやるのかという「方針」が必要です。
「目的」と「目標」と「方針」のない管理は、管理とは呼べません。

だから「IPM」も、目標を明確にせよと言っています。
「維持管理基準」を設定し、それを目指せと言っています。
またこれが、先でいう「評価」の基準だと言っています。
つまり「総合的な防除対策」という「方針」で、この「維持管理基準」という「目標」を目指すのが、「IPM」です。

複合的な防除対策

左のほうのピンク点線がそれにあたります。

「IPM」には複数の対策の組み合わせが必要です。

IPMの防除対策
  • 環境的対策
  • 物理的対策
  • 化学的対策
  • 生物的対策

 

これらのうち、「生物的対策」とは天敵による駆除ですが、工場での防虫管理においては現実的にそぐわないので、置いておきます。
よって残る3つの対策が、具体的な防除対策項目となります。

「環境的対策」とは、虫がいないような環境整備を行う対策です。
清掃だったり整理整頓だったりというような、5S/サニテーションによる対策だったり、床面の凹凸の補修やドアの隙間対策といったこともそれに含まれます。
一方、「物理的対策」というのは、ゴキブリの卵鞘を除去したり捕殺対策といった、物理的に虫を取り除く対策のことです。
また「化学的対策」とは、殺虫剤を散布するといった殺虫対策の他、アルコールでカビを除去して食菌性昆虫をいなくさせるなどの対策もそこに加わります。
「IPM」にとって重要なのは、この3つだけというわけではなく、「様々な有効な手段を実施する」ということです。
ですから、有効ならば他の手段を実施してもいいわけです。
いずれにせよ、「IPM」の根幹である、「薬剤での防除対策だけに頼らない」というのが、ここでは重要です。
設備構造的な対策、つまり「ハードの対策」と、管理運用的な対策、つまり「ソフトの対策」を組み合わせて、有効な手段を行います。

さて。
「有害生物」とは、ここでは昆虫を指します。(鼠もあるかもしれません)
総合的な「有害生物=昆虫」の管理が、「IPM」です。
さて、「有害生物=昆虫」を、工場において考えてみましょう。
上でも言いましたが、「問題」には、必ず「要因」があります。

だからこそ、「要因」として考える必要があるのです。
工場で生息する昆虫という「問題」を「要因」として捉えます。
「ここにいるこの昆虫は、なんでここに存在するのか」、ということですね。
すると、「工場の外から入ってきた」のか、そうではなく「工場の中で発生した」のか。そのどちらかになるでしょう。
だから、要因として二分して考えることが重要です。
結果、工場内に生息している昆虫は、「外部侵入要因昆虫」か「内部発生要因昆虫」に分けられます。

「要因」が違うのですから、それに対する「対策」も変わってきます。
当然「IPM」上での「防除対策」も変わってくるはずです。

効果判定による評価

右のほうのピンク点線がそれにあたります。
つまり「PDCAサイクル」です。
突き詰めて言えば、管理とは、「目的」「目標」「方針」のために、PDCAサイクルを回すことです。
計画を立てて(PLAN)、日々の衛生管理を実行し(DO)、それを評価(CHECK)し、もし問題があれば防除対策によって是正(ACTION)する。そして、それを繰り返す。
そう、重要なのは先の防除対策は「A:是正」の手段である、ということです。
そしてそれを「評価」し、「問題」の「要因」を明らかにして「対策」を講じるためにモニタリングを行います。

まとめ

このように、「管理」を徹底的に考えると、それを成すための様々な要素が見えてきます。
防虫管理も「管理」ですから、ただ当てずっぽうに場当たり的にやっても効果が出ないことがわかるでしょう。
「うちはIPMをやっています」という衛生管理屋は多いですが、よく聞くと「モニタリングやってます」だの「清掃やります」だのといった小手先程度で「IPM」を語っているところばかりです。
私からすれば、そういうところは、「IPM」をしっかり理解出来ていません。
「IPM」は、「総合的」な「有害生物」の「管理」です。
なぜこの頭文字を取っているのか。
各々の意味こそが、実は重要なのです。

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