いよいよ夏本番。
と、その前にイヤーな梅雨の到来です。
すると、そろそろ迎えるのが、あのイヤーなGの季節。
そう、Gことゴキブリ。
ですが一般的な皆さん、プロの防虫管理屋からすれば本当にゴキブリに対して無知、あるいは誤解している。
ネットでも様々な情報が混乱していたり、テレビのCMですら嘘(というのが語弊なら大げさ)を言う。
食品工場だったら、尚のこと本当のことを学ばないといけないことでしょう。
ということで、今回は夏に向けて、このGの話をしてみたいと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

敵を知ろう!プロが教えるゴキブリの本当の話

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」。
かの孫子は、こう言いました。
敵のことを知って、自分のことを知れば、戦いは勝てるものだ、と。

防虫対策もまさにそう。
大体、世の中はヘイトの対象、クロゴキブリへの誤解に溢れています。
いや、私も実はクロゴキブリって割と苦手だったりもするのですが、だからこそ、キライだからこそいなくさせたいならばそれを正しく知ることが、Gとの戦いに勝利することです。
そこで防虫管理のプロが、ゴキブリについて本当のことを教えます。
今回ばかりは、ご家庭の主婦さんも必見です!

まずはゴキブリの種類を知ろう

一重に「ゴキブリ」といっても、意外と種類があるものです。
世界で見ると4000種、日本だけでも57種が分布しているのですが、しかし工場の衛生管理や日々の我が国での生活で知っておくべきはそれほど多くない。
つまり、「クロゴキブリ(ゴキブリ科)」と「チャバネゴキブリ(チャバネゴキブリ科)」の2種です
他にも幾つか種類はあるのですが、この2つこそがゴキブリを知るために代表的かつ特徴的な存在なのです。
そして一部のレアケースを覗いて、一般的なご家庭で問題になる、あの黒光りした「G」とはこの前者、「クロゴキブリ」のことです。
「Gが出た!」と言ったら、まあ99%以上、これだと思ってください。

クロゴキブリの特徴を知ろう

クロゴキブリの特徴
  • 体長3~4㎝
  • 光沢のある黒褐色
  • 暗く湿った場所を好む(主にゴミ廃棄所や下水などで生息している)
  • 比較的寒さにも強い
  • 活動期は5~10月、卵または幼虫で越冬する
  • 工場内での内部発生は比較的しづらい(家庭でも同様)
  • 幼虫期間は約240日、成虫寿命は約200日と、非常に長期的
  • 卵鞘(卵)を産み落とし、唾液で他に固着させる
  • 夜行性である

 

いわゆる一般の方々のゴキブリのイメージは、この「クロゴキブリ」でしょう。
テカテカと黒光りしていて、殺虫剤のテレビCMなどに出てくる、あのお馴染みのゴキブリです。
ただしこれらの一般的なイメージには時折大きな間違いがあったりするものです。
デタラメでトンチンカンで無駄な対策をしないためにも、正しい知識をここで知っておきましょう。

まず体長は、成虫で3~4㎝。
ただし生まれたての幼虫(若齢幼虫)は非常に微小で数ミリ程度です。
にも関わらず、やはり活動力が高く、小さな隙間からも侵入してきます。
成虫では1㎝弱の隙間から、しかし幼虫になるとほんの小さな隙間からいくらでも侵入することが可能です。

殺虫剤などでお世話になっているバイエルクロップサイエンス株式会社さんのところから拝借いたしました。
この虫、なんだか判りますか?
たった2mmかそこらの、非常に
これが実は、クロゴキブリの幼虫です。
そう、クロゴキブリの幼虫は実はこんなに小さいのです。
ですからドアの隙間などから侵入するのも非常にたやすいのです。

また温暖な環境でしか生きれないため室内でしか生きられないチャバネゴキブリに対し、クロゴキブリは意外と寒さにも強い。
だから、基本的には屋外で冬を越します。(これを越冬と呼びます)

もっともいくら寒さに強いといっても、吹きすさぶ北風や雪の中を活動しているわけではありません。
温暖で湿った下水や、湿気のある家屋の屋根裏や床下、あるいはボイラー室や機械室などの熱源のそばで潜んで生きているのです。

基本的にクロゴキブリは、寒さの強い卵や幼虫で越冬、つまり冬を越します
夏に活発化したクロゴキブリは晩夏から秋にかけて産卵します。
ゴキブリは卵鞘といって、およそ20~30の卵を鞘の中に入れて産むのですが、クロゴキブリはこれを産み落とすと部屋の隅のほうや柱などに唾液で固着させます。
これが、卵鞘をずっと尾端に付着させて生活しているチャバネゴキブリと違うところです。

ウィキペディア様の画像よりメスのクロゴキブリ。
お尻の赤茶色いのが、卵の塊である卵鞘です。
これがすぐにどこかに産み落とされ、唾液で固着されます。

さて、産み落とされ付着した卵鞘は、夏になら秋に、秋なら次の春に孵化します。
ですから秋に見るクロゴキブリの多くは、小さな幼虫であることが結構多くなってくるし、春から初夏に見るものはその幼虫が育った成虫間近のものが次第に多くなってくる。

これが育ってきた幼虫ですね。
こうなると活動力は成虫とそれほど変わらなくなります。

さて、越冬をしながら長期生きる、ということはチャバネゴキブリに比べると繁殖力が低い、ということになります。
チャバネゴキブリの記事で詳細を話しますが、チャバネゴキブリは短命ゆえに繁殖力を高めて1年中繁殖し、種を存続させようとします。
一方、クロゴキブリはそこまで繁殖力が高いわけではありません。よってチャバネゴキブリと違って、1ヶ月放置したらとんでもなく爆発的に増殖していた、といったことはそうそうあるわけではないでしょう。(※1)

それともうひとつ。
一般的にゴキブリは、夜行性です。
ただし夜になったからさあ動くぞ、というものではありません。
暗くなったら、活動を開始するのです。
そして、そのくらい間ずっと活動しているわけでもありません。
実際に活発に活動するのは、暗くなってから数時間。
それ以降は、明るい昼同様、必要時以外は潜伏しています。

※1:ただしクロゴキブリは年間に20回以上卵(卵鞘)を生みます。
その意味では繁殖力はかなり高いものだと思ってよいかと思います。

間違ったクロゴキブリのイメージ

さて、そんなクロゴキブリですが、一般的なイメージと実際が食い違っていることが、ままあります。
例えば、これなんかがいい例。

これ、ネット上の素材屋さんで誰でも手に入るフリー画像なのですが、いかにも虫に詳しくない一般の素人さんが作ったような好例でしょう。
プロから言わせれば、ここに間違いが幾つかあります。
どうでしょうか、3つほど挙げられますでしょうか。

さあ、判りましたか?
答えは、こんなところです。

ここが違うよクロゴキブリ
  • クロゴキブリは、廊下の真ん中を行進しない
  • クロゴキブリは、成虫では集団で活動しない
  • クロゴキブリは、家の中でそれほど営巣・内部発生しない

 

まず、クロゴキブリは触角で壁に触れながら普通移動します。
これを「接触走性」なんて言ったりするのですが、とりあえずこんな廊下の真ん中を列作って移動することはまずないでしょう。

それから、ゴキブリは確かに、若齢幼虫のときには集団で生息します。
ですが段々とその性質が薄まっていき、やがて排他的になり、1匹単位での活動がメインになります。
確かに下水などでは数匹群がって生息したりもしていますし、気温が下がってくると排他性は低くなると言われています。(群がって生息しているほうが温度が高まるため)
しかしこの場合、暗所などで静かに潜伏している状況の話。
このような盛んな活動期に、家の中で成虫がこれほど集団そろって仲良く(?)生息、活動することはまずないでしょう。

そして最大の誤解は、ゴキブリはそれほど家の中で内部発生しない、ということです。

これね、ほんと多くの人が誤解しています。
例えば、よく1匹見たら30匹いると思え、なんて言いますね。
これ、プロからすれば、「半分正解で、半分間違い」、なんです。

まず、次に話すチャバネゴキブリなら、それは少なからず言えなくもない。
その意味では、まあ正解といえる。
でも、それがいわゆるクロゴキブリの話なら、別です。

例えばクロゴキブリの卵鞘には20~30弱の卵が入っている。
だから台所の下などで卵鞘が付着されたら、そこからは確かに20~30匹のゴキブリが孵化する可能性は、ある。
すっごく小さなゴキブリの幼虫のことですね。
確かに一見、正解をかすってる。
ですが、それが成虫になるまで一般的な家の中で潜み続け、よく殺虫剤のCMにあるように何匹も何匹も冷蔵庫の下などで生き続けていることは、それほど多いわけではありません。
大概は上にも書いたように、下水や床下など、自分のより住みやすい場所に幼虫時に移動し、そこを営巣箇所とするものです。

いいですか?
ゴキブリは、大概屋外に生息しているのです。
家の中ではないのです。
そして、ゴキブリが家の中に入ってくるのは、ほとんどの場合、住処を求めてではありません
餌や温度を求めてたまたま入ってくるのです。
そしてそれらの餌は匂いに誘引されることが多いのですが、これまたひとつ注意。
クロゴキブリは、いわゆるご飯の匂いなどに誘引されるのではありません。
そうではなく、食物が腐った腐敗臭に誘引されているのです
クロゴキブリが、ゴミ捨て場に多く生息しているのはそのせいです。
もしあなたの家で腐敗物を放置して、生ゴミも貯めまくっているような状態であれば話は別ですが、普通に考えてそんなことないというのであれば、大丈夫。
だから、ゴキブリが家の中で営巣することは、それほど多いわけではないのです。(※2)

※2:ただしタマネギなどの野菜を常温で保存しているおうちは、ちょっとだけ注意が必要。
販売屋ではないので不安を過剰に煽るようなことはウチではしませんが(笑)、でもクロゴキブリはタマネギの匂いが大好きです。あとバナナや米ぬか、パンなども同様です。
食物の棚などへの常温保存にはお気をつけください。

ここが違うよ林先生!

ここまで話せば、そろそろお判りになってくるでしょう。
駆除剤、プロで言うところのベイト剤を扱っているテレビCM。
このコンバットのCMを見るたびに、これどうよ?とプロなら皆きっと思うことでしょう。

どうでしょう、皆さん。
クロゴキブリに対してこういうイメージ、ありますかね?
ドヤ顔で教えている林先生ですが、何が間違っているでしょうか。

そう、クロゴキブリがぞろぞろとこんな家の中、冷蔵庫の下で営巣することはそれほど多くはありません。というか、「普通に衛生的にしている一般家庭」ではまずありません。
つーか、こんな綺麗な家にぞろぞろいるか!(笑)

確かに上の通り、卵鞘を産み落とされ、それが孵化することはあるでしょう。
これを「内部発生」というのであれば、それは全くないケースではありません。
また幼虫には先の通り集団性がありますので、有る程度固まって生息します。
まあ「チャバネゴキブリのことも含みます」という意味なんでしょうが、でも他で餌を食べてまた営巣箇所に帰ってくるなんてこと、私はあまり聞いたことありません。
アリじゃないんだから。

えーと…軽く心配しますけど、大丈夫ですかこれ、林先生?
そしてそれを言わせているメイカーさん…。

何が言いたいかというと、一般家庭でクロゴキブリが内部発生して集団で営巣に至る、ということはそれほど多いケースではない、ということです。
そして家で見るクロゴキブリのそのほとんどは外部からの侵入です。
ほとんどが下水から、外部のゴミ捨て、ドブや排水溝、あとせいぜい場合によっては床下などからです。

このことは、多くの食品工場でも同じ事。
確かに一般家庭に比べたら、生息要因である腐敗した残渣などや水の多用など、条件的には内部発生の危険性は高いことは高い。
私も何度か工場内でクロゴキブリが内部発生した案件を対応した経験もあります。
よって工場の衛生状況にもよりますが、でも一般的にはそのほとんどが外部侵入でしょう。
まずはクロゴキブリの目撃報告が届いたら、場内に巣くっているのではなく、下水や床下、外やボイラー室、機械室、排水施設、外部倉庫などからの外部侵入だと疑ってみましょう。(※3)

※3:内部発生の場合、幼虫の複数捕獲が同箇所でやたら連続します。よって単体、あるいは単発的ということはまずないでしょう。
もし不安であれば、モニタリング結果で「クロゴキブリ」欄を数ヶ月チェックしてみてはいかがでしょうか。

まとめ:これらを食品工場として考えてみよう

今回は、世間では割と正確に知られていないクロゴキブリについてのお話をしました。
結論を言えば、「クロゴキブリは大概、外からきてる」ということです。
要するに、食品工場での防虫管理の考え方に沿って言えば、クロゴキブリは歩行性の「外部侵入要因昆虫」なのです。

最後に食品工場の方々、おさらいです。
いいですか?
正しい「要因」を選んでつぶさないと、「対策」は効果を果たせません。
「外部侵入要因昆虫」に、いくら内部発生対策を行ってもあまり効果はみられませんね。
ゴキブリだって同じです。
歩行性の「外部侵入要因昆虫」なのだから、歩いて入ってくる「外部侵入要因」がどこかにあるのです。そしてそれをつぶさない限り、問題は続きます。
それは、場内にないはずの巣を探すことではないのではないですか?
すべき対策は、クロゴキブリという「外部侵入要因昆虫」に対しての侵入防止対策であるはずです。

さて、次はもう一つの「G」、つまりチャバネゴキブリについてお話をいたしましょう。

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