少し時間が空いてしまいました。
さて、そうこうしているうちに、いよいよ夏到来。
防虫のシーズン、真っ盛りです。
そこで防虫のプロが、今年多い夏の虫についてお話したいと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

今日のテーマ:急増しているアザミウマ類を防ぐ

ケーススタディ・ザ防虫対策。
ただ虫の生態や論文のパクリを乗せているだけの他と違って、「工場の現場で起こりやすいこと」、「実際に起こったこと」を例題事例とし、「実際に実施し、効果があったこと、なかったこと」「現場に即したリアルな対処方法」を、ここではお教えしてきます。

というわけで、今回のテーマは、こちら。

「急増しているアザミウマ類を防ぐ」
です。

昆虫の「当たり年」って?

場所、地域、気温、天候、自然環境、感覚、偶発性…。
これら様々な要因があるので一概には言えませんが、その場その時で何故か多い虫というのがあります。
少し乱暴に言えば、虫には「当たり年」があるんです。
統計の取りようがないので正確にはわかりません。
ただ、様々なお客さんのところで問題になるものが共通する。
少なくとも、狭い地域では似たような問題が、確かに起こる。
こっちのお客さんの工場である虫が増えると、必ず他でも増えて、あっちでも増えてる。
恐らくプロの防虫屋さんなら体感的に判ることでしょう。

で、今年の「当たり年」は何か、というと。
少なくとも関東地方、とくに東京(東側)、千葉、茨城、埼玉などでは緑地帯由来の昆虫、特にアザミウマ類なんじゃないかなって思います。

都内防虫屋の、今年前半の感覚
  • タカラダニ類、思ったより少なかったね
  • クロゴキブリの活動、今月どこでもいきなり増えたな
  • アザミウマ類とアブラムシ類、5月からめっちゃどこでも激増してるんですけど

 

同業者さん、如何でしょう(笑)。
少なくともウチのエリアはこんな感じでした。

ていうか、多くないですかアザミウマ!
そりゃ確かにこの時期増加する虫ではあるのですが、ほんと先月くらいから異常発生している。
うちのお客様達はどこでもご苦労されています。
アザミウマは植物由来の昆虫なのですが、同様の植物由来の昆虫であるアブラムシ類もついでに滅茶苦茶増えています。

さあ、そんなわけで今月は急上昇注目ランカー、アザミウマ類についてお話致します。

(ウィキペディア様より画像拝借)

とにかく小さな昆虫、アザミウマ類

一般の方、品質管理の方にも余りなじみがないかもしれません。
寧ろ農業害虫なので、そちら側の方々のほうが知っていることでしょう。
少なくとも、我々食品衛生の世界では、どちらかといえば地味な虫です。
地味ですが、問題になる場合はめっちゃ厄介です。
というか原因はわかるが対策が難しい、という虫です。

総翅目、アザミウマ目の総称、アザミウマ。
とにかく小さい。
ひたすら、小さい。
何分小さすぎて、油断するとプロの我々でも見落としかねないくらいに小さいのです。

ではどのくらい小さいか。
これは捕虫紙に捕獲されたアザミウマ類です。
どれだか判りますか?

ここに2匹いるじゃないかって?

ブーっ。
残念ながら、違います。

あ、これかって?

そう、3匹います。
え?1匹じゃないですよ?

それではもう少し拡大して、ハサミの先を当ててみましょうか。

少しわかりましたか?

ほら、3匹いるでしょ?

それではルーペで拡大してみましょう。

…とね。
これですよ?
体長は1~2ミリ程度。
こりゃあ入ってくるわ、と思うでしょ?
そりゃ仕方ないかもなって思うでしょ?
で、こんな小さな虫がですね、わんさかとここしばらく大量に工場内に侵入しているのです。
こんな虫を防ぐのですから、本当に大変なんです。

ちなみに昆虫の世界には、こんな小さなアザミウマの更にもっともっと小さな卵に寄生するハチがいるというのだから驚きです。

増加しているアザミウマ類をどう防ぐか

先に少し触れたように、アザミウマ類は農業害虫、つまり植物由来の昆虫です。
上でも判るように、虫体は細長く、また細長の顔の形状からウマの名が付いたものと言われています。
実はさきほど画像を借用した際に覗いた「ウィキペディア」で知ったのですが(笑)、
「和名は「馬出よ」などといいながら、アザミの花を振って、出てきた花粉食のアザミウマを数える古い時代の子供の遊びに由来する」
のだそうです。
へえ、勉強になるなあ(笑)。

なお農業害虫ですから生態についてはあちこちで書かれていますので、ここでは重要な点にしか触れませんが、日本全国の草むらなどに大量に生息している昆虫だと思ってください。
多くの植物を吸汁して生きています。

また非常に小さく、自らの力で飛ぶというよりは、風や気流に乗って移動します。
最も活動する季節は、緑化が進む丁度今時期です。

アザミウマ類の特徴
  • とにかく小さい!(体長は1~2ミリ)
  • 植物由来の昆虫である
  • 風や気流に乗って移動する
  • 春期~初夏が活動ピークである

 

アザミウマ対策をどう行うか

さて、皆様に必要なのは、細かい生態の知識よりも、現実的な対策の知識です。
アザミウマ類は上のとおり植物由来ですので、「外部侵入要因種」です。
ですから、製造施設内で植物がなければアザミウマ類は内部発生できません。
食品工場内に生木や植物を置いてあるところはないでしょうから、ほぼほぼ外部侵入の問題だと捉えてよいでしょう。

ということは、外部からの侵入対策が必要だということになります。
ですから普通に考えれば、ハード上建屋の機密性を高めて、ソフト上ドアやシャッターの開閉管理を徹底する、ということになりますね。
ところが。
アザミウマ類は微小な昆虫であるため、「ここから入る?」というような隙間からも侵入します。
例えば、スチールシャッターの側面凹部。
こんなのは、アザミウマにしてみれば開放状態と余り変わらない。
あるいは、密閉しているドアと、枠の間。
天井パネルと壁面の合わせ目の隙間。
排煙窓の枠の隙間。
パイプ貫通部の隙間…。
要するに、「工場に水を満たすとして水が洩れない」という状況でなければ侵入されてもおかしくない、ということになります。
こう考えてみると、昆虫にとっては工場は隙間だらけなわけです。

しかもアザミウマ類は、風に乗って移動します。
つまり、外気の取り込みのフィルターが甘いと、そこからも侵入します。
更に工場が陰圧だと、外からどんどん外気が流入します。
下のような工場の場合ですね。

加熱調理機器や洗浄機の置いてあるエリアは、どうしても蒸気が発生しますので、これを排気しないといけません。
するとその分どこからか、それを補うだけの給気が必要になります。
給排気バランスが整えられている工場なら、これで別に問題ないのですが、これが排気の力が強くなりバランスが崩れるとどうなるか。
そのエリアは、他エリアに給気を求めることになり、結果、そこに「陰圧」が生じます。
これを引き金に、吸排気のバランスが弱い工場などでは無尽蔵にこのような外気で移動する昆虫を吸い込んでしまうことになるのです。
さあ困った、どうしよう…。

アザミウマ対策

陰圧工場の方々へ。
はっきり言って「陰圧」は、防虫対策で最も困難な問題です。
ですが、対策が全くないわけではない。
差圧を直すには大きなコストがかかりますので、すぐには出来ないでしょう。
陰圧の工場の場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。

さてここで改めて、外部侵入対策の基本を踏まえましょう。
常に問題は、基本を踏まえてみることが重要です。

外部侵入に対しては、「環境リスク対策」と「侵入リスク対策」、「生息リスク対策」が必要です。
アザミウマ類は場内での内部発生が出来ないので、「発生リスク対策」は必要ありません。

アザミウマ対策
  • 環境リスク対策:周辺での生息数を減らす
  • 侵入リスク対策:工場内への侵入を減らす
  • 生息リスク対策:工場内への拡散を減らす

 

このように対策を何段階かに分けて考えると判りやすいかと思います。
つまり、上の工場であればこのようになります。

で、その前にですね。
現状においてどのくらいアザミウマ類が問題なのか、ご自身の状況を知ることが重要です。
そう、どの対策が自分の工場において重点を置くべきかを知るわけです。
まずは昨月、5月の防虫モニタリングの結果データを見てみましょう。
アザミウマ類がどのくらい捕獲されているのか。
また他の虫はどんなものが多く捕獲されているのか。
そして、それがどのくらい工場内部にまで拡散しているのか。
これらを合わせて考えていけば、どの対策が弱いために問題が生じているかが判るかと思います。

さて今回はアザミウマ類とアブラムシ類が今年は多い、という話からスタートしました。
このような、緑地由来昆虫の捕獲が急激に多くなっている工場。
タマバエ類、クロバネキノコバエ類などですね。
恐らくは、多くの工場がこの状態にあると思います。
この場合、明らかに敷地内あるいは周辺の緑地帯が問題です。
つまり、工場環境の生息数を減らすという「環境リスク対策」が求められているわけです。
この場合、緑地帯の整備が必要です。
不必要な雑草などを放置していませんか?
自分の敷地であれば、直ちに除草するようにしてください。
また緑地帯への殺虫剤散布も有効です。
同時に増えている昆虫も駆除出来ますので、最初にこれを行ったほうがよろしいでしょう。

ユスリカ類や他の外部侵入昆虫とともに増加している場合。
今時期だと羽アリなども捕獲されているような工場。
こちらの場合は、「工場に入らせない」という「侵入リスク対策」を重要視すべきです。
ドアやシャッターの開閉管理をまず行ってください。
また、夜間の灯火対策は大丈夫ですか?
不必要に昆虫を夜間灯火で誘引していませんか。
その場合は灯火対策が有効です。

アザミウマ類だけがやたら多く捕獲されているという工場。
コバチやタマバエ類なども多くありませんか。これらも同様に微小な昆虫です。
その場合、外気にともなう流入を疑ってください。
外気の流入している箇所をシーリングしたり、ドアをテーピングしたりといったことも有効でしょう。
(注意:ドアのテーピングには消防上の問題がある場合があります。)
外気の貯まる場所に捕虫器を低い位置で設置してみる、というのもいいかもしれませんね。
こういうときのために、ホイールで移動出来る洋服用ハンガーラックと予備の捕虫器を用意しておくと非常に便利です。

また、「生息リスク対策」も必要です。
工場内に入った昆虫を、「重要なエリアにまで拡散させない」という対策です。
外部隣接の前室などから外気が流れ込んで清浄区域に向かっているのであれば、どこかでそれを遮断する必要があります。
防虫カーテンなどを通路に設置するなども、こういう意味で有効です。

そうではなくて、外部側ではそれほどでもないにも関わらず、工場内部でだけ多数の捕獲がみられる。
これもまた「侵入リスク対策」の一つです。
こんな場合は、製造室内の目に見えない隙間から侵入しているか、フィルターを脱けているかのいずれかです。
まずは吸気口に養生テープを数日張って、付着するかどうか見てみてください。
付着すれば、ビンゴ。でなければ他の隙間が怪しい。
まあ大概は、後者だったりするものです。
扉や窓の隙間などを疑ってください。
それと、たまにあるのが、天井裏から侵入しているケースです。
天井裏に外に繋がる隙間があって、加熱調理や洗浄機などの排気によって陰圧化し、点検口や天井パネルの合わせなどから侵入している、というケースを見たことがあります。
同時に天井の埃やゴミなどを吸い込んでいるわけですから、異物混入対策上においても問題があります。
点検口に手を当てて、気流の流れがあるようなら、その線を疑ってみるべきでしょう。

まとめ

このところ非常に増えてきている、トレンドであるアザミウマ類についてお話をしました。
非常に微小な昆虫であり、小さな隙間からも侵入してくるため、対策がなかなか難しい昆虫です。
まずは緑地帯を整備し、殺虫剤を散布して、付近の生息数を減らすという環境対策を行ってください。
次に、状況次第で対策が変わってきます。
各段階でのリスク対策を踏まえて考えてみることが重要です。

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