最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回の話題は、先日発生した、宇部興産での金属異物混入です。
ブルボン、ロッテ、ヤマザキビスケット、セブン&アイ…と大手企業にわたって大規模発展したこの混入事故について、異物混入のプロの目線からお話したく思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

ブルボン、ロッテ他での金属異物混入について

2019年3月19日、ブルボンやロッテが自社の商品に対し、金属異物の混入リスクがあるとして回収。
更にはこれに次いで、セブン&アイ、ヤマザキビスケットなどからも同様の理由から回収の報告があがってきました。

大手4社による回収騒動へと発展した今回の異物混入の原因は、その製品の材料である焼き菓子を膨らませるための添加物、膨張剤への金属片混入リスクがみられたためです。
報道によれば、その膨張剤の製造元である大手化学メーカー宇部興産において、製造工程上、0.5mm以下の金属粉が混入している可能性があることが判明したとのこと。


(菓子メイカー3社で回収する製品一部)
ハザード・ラボ

こうした事実をうけ、宇部興産でも次のように清拭発表しています。

このたび、弊社が製造・販売している重炭安(重炭酸アンモニウム)のうち、2019年1月30日以降の製造品に金属異物が混入している可能性があることが判明いたしました。

重炭安は工業用途や食品添加用途(膨張剤等)で使用されています。
2月21日に弊社の社内検査で金属異物が見つかりました。

直ちに生産を停止して製造設備を調査した結果、ステンレス製設備の一部が破損しており、これにより発生した金属片が製品に混入したものと考えられます。

検査記録と運転状況を確認して対象範囲を特定し、対象製品を出荷した顧客に対して使用停止を申し入れ、出荷済みの製品を返品していただきましたが、このたび対象範囲より以前に製造した重炭安に異物が入っていたとの連絡が顧客よりありました。

過去のロットを再調査した結果、上記の通り対象範囲を特定し直した上で、改めて顧客各社に問題の可能性のある製品ロットを連絡し、使用の停止と返品をお願いしております。

要約すると、つまり宇部興産での膨張剤「重炭酸アンモニウム」の製造工程上、製造設備の破損から金属片が製品に混入した危険性を確認し、それを原材料として使用したお菓子メーカーが回収に向かっている、というわけです。

尤も、金属異物混入といっても、所詮は0.5mm以下の金属粉です。
恐らくこれを食しての「深刻な健康被害」は、はっきり言って普通に考えてあり得ないでしょう。
事故報告の告知文にも、「想定される健康への影響」として、「異物(金属粉:0.5mm以下)を食しても健康被害が生じる恐れは極めて低い」と書かれています。

しかし、そうはいっても異物混入は異物混入。
金属異物混入ともなると、勝手が違ってくるのがこの業界。
ましてや、今回の回収対象の「ビックリマンチョコ」などから判るように、菓子類というのは、その多くは子供が食べるもの。
対応が俄然厳しくなってくるのも判らない話ではありません。

結果、ヤマザキビスケットで14万個、ロッテは151万個、ブルボンの60万個がその回収対象となるとのこと。
さらに、その重炭酸アンモニウムの納品先は食品用と工業用を合わせて約50社、製造量にして約200tといいますから、今後の影響も懸念されるところでしょう。
(2019年3月24日現在)

金属異物のサイズって?

今回問題となったのは、たった0.5mm以下の金属粉です。
今後の発見次第ではこれ以上のサイズの混入異物も出てきかねませんし、そもそもこのような大規模な対応に発展するからには、それなりの理由もあるのでしょう。

しかし、現状において問題となっているのは、たった0.5mm以下の金属粉です。
我々はこれをどのように捉えるべきでしょうか。

実は、金属異物のサイズに対する法的基準は我が国に存在しません。
加えるなら、混入金属の金属種、大きさ、形状などについても法的に決められていません。
あるのは、食品衛生法第六条、「人の健康を損なうような異物混入をした食品を作ってはいけない」というのみです。

食品衛生法第 6 条(不衛生食品等の販売等の禁止)

次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の
場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

四、不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの

これだけです。

ただし当然ですが、人的健康被害が考えられるような種の金属などの異物混入が発生した場合、その場合は即時に食品衛生法第六条違反相当となり、製品回収が義務づけられることになります。

ちなみに、アメリカ(FDA)では7.0mmを、またお隣韓国では2.0mmを法基準としています。
つまりこれ以下では混入異物対象から外れることになります。
このサイズ規定に関しては、デメリット、メリットまちまちですから、どちらにすべきかとそう短絡的に一概に言えるものではないでしょう。

勿論これは法的基準の話であり、我が国の食品メーカーのそのほとんどが独自の自主基準を制定し、それに準じています。
事実、今回の0.5mmという金属異物混入然りです。

尤もメーカーで定めているサイズ、などは恐らくないでしょうね。

一応の根拠として、例えば自社の導入している金属探知機の精度を一つの目安とする、というのは一定の理解も出来なくはありません。
ですが、0.5mmというのは、金属探知機においてもかなり精度を高めないと発見できないレベルのものです。

というか現実的には、運用上はほぼ難しいレベルであることは、現場の方ならご存じかと思います。
専門性が高まってしまうため金属探知機については余りここでは触れませんが、とにかくそのくらいの微小なものが、今回は大きな問題となっているのだ、ということをまず念頭に入れていただくとよろしいかと思います。

金属混入の要因

詳細が報道されていないため、あくまで一般論をお話します。

金属の異物混入、として考えた場合幾つかの要因がまずは浮かびます。
主立ったところで、おおよそこんなところでしょうか。

さて、このように幾つか要因例が考えられる金属の異物混入例ですが、これらにおいて最も多いのは、実はサビです。

というのも、工程上の使用水や殺菌剤を多用することが多い食品工場では金属、なかでも鉄類の劣化が著しいためサビが多くみられます。
当然、サビが進行すれば、ネジやビス、ワッシャーなどの脱落もしやすくなります。

サビの防止には研磨をかけての再塗装やパーツの交換などが必要となりますが、現場にいる皆様ならお判りのように、早々簡単に、じゃあ交換してくれ、じゃあ補修してくれ、といってすぐに出来るものではないのが現実です。

また、これに加えてメッキの剥離なども時折見られるものです。
例えばつい数ヶ月前、昨年末の話ですが、森永乳業でプリンの充填工程にて製造機械のメッキが剥離して落下し、金属異物混入。
結果、15万個の回収へと発展したことは記憶に新しいことでしょう。

時事ドットコム
 
森永乳業、プリン15万個を回収=金属異物混入の恐れ:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018121000734&g=eco
森永乳業は10日、カッププリン「森永の焼プリン140g」に金属異物が混入している恐れがあるとして、東京工場(東京都葛飾区)から全国に出荷された15万3901個を自主回収すると発表した。これまでに健康被害の報告はないとしている。

意外な混入ルートも

更に、ステンレスなどの場合は、工場設備への工事の際の削りカスという例も考えられます。

少々、私が実際に遭遇した例をご紹介します。

3~4年前の話です。
ある食品工場の製造室内に設置してある防虫管理用のトラップのメンテナンス中に、何故か粘着トラップに金属の細かな削りカスが複数付着しているのを発見したのです。

床置きのトラップじゃないですよ?
高所に設置してあるライトトラップに、ですよ?

訝しがって周囲を調査。
すると間もなく、床面にも同様の金属片が散乱していることに気付きます。
いや、高所どころではない、ライン上の鉄骨上にも散乱している。
しかも恐ろしいのは、そのすぐ下には暴露工程のローラーコンベアが走っていたことです。
少しの振動や刺激、送風でもあったら、数ミリの金属片などたやすく落下することでしょう。

慌てて調べてみると、成る程、すぐ付近の天井埋め込み式のパッケージエアコンが新しくなっていることに気付きました。
現場担当の方に聞いてみると、エアコンが故障し、大至急新しいものを導入した、とのこと。
そう、その工事の際、ドリルなどを用いたために発生した削りカスが周辺に散乱し、清掃不足により発見された、ということです。

工事への出入り業者は様々です。
食品工場のこうしたデリケートな衛生管理事情を熟知している方もいれば、そんなことまで知らない業者だって実は数多く存在する。
このことも、もう少し業者が養生を徹底する、などすれば避けられたはずですし、工場側も清掃の徹底が必要だった。
しかしそれでももしここで金属異物混入が発生した場合、果たしてエアコンの工事が原因であることまですぐにたどり着けるでしょうか。

こんな例、貴方の工場で全くありえない、と言い切れますか?

金属異物混入の危うさ

このように、たった0.5mm以下の金属粉が大きな問題へと発展しかねないのが、金属異物混入です。

金属異物混入の恐ろしさは、消費者が商品を摂食することで口内や体内を傷つけてしまう危険にダイレクトにつながるところでしょう。
また健康被害に直結せずとも、やもすれば訴訟問題や社会的信頼を失いかねない危険を大きく抱えており、その意味からも軽視できない問題です。

これらのことから金属の異物混入対策も、非常に重要な異物混入対策テーマでありますので、今後これ以降にも改めて取り扱いたく思います。

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