3月を迎えても未だにに続いている、ノロウィルス食中毒被害。
今回は食品工場においてノロウィルス食中毒にどう向かえばいいのか、お話したく思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

ノロウィルス対策について

それでは前回のお話を踏まえて、具体的な対策についてお話を進めたく思います。
前回を読んでおられない方はこちらから先にどうぞ。

…と。
このように書き始めて大変恐縮なのですが。
さすがは多くの飲食店がひしめく、大都会東京。
実は「東京都福祉保険局」には、食品事業者向けのノロウィルス対応標準マニュアルが製作されています。
これが実に判りやすくしっかりしている上、ルール例から緊急対応方法、各種の帳票例などもあって、写真も豊富で非常に便利。
そちらをしっかり印刷し、読み、掲示すればいいようになっています。

うーん。
もう色々と、これで十分なんじゃないかな!?

…となるともうここで書くことがなくなってしまうのですが(笑)、そこはやっぱり私もプロですから。
現場に通じている身、衛生管理の専門家としての立場から、上にはないことなどについて少し触れておきたく思います。
そして特に重要なお話を一番最後にしていますので、どうぞチェックしてみてください。

工場でのノロウィルス対策

ノロウィルスの対策も、基本的には他の微生物対策と変わることはありません。
つまり、「つけない」「増やさない」「やっつける」です。

ただし先にも書いたように、ウィルスは人間の体内でしか増殖しません。
よって工場内で「増やさない」という対策が無意味、不可能になります。
ですから、ここではノロウィルスを「つけない」、「やっつける」ことを考えていきましょう。

ノロウィルスを「つけない」

製品の衛生的な取り扱い

食品製造におけるノロウィルス食中毒要因のほとんどが、ウィルスに汚染された感染者による二次汚染です。
先に挙げた2017年の刻み海苔による大規模感染がそのいい例でしょう。
これは、ノロウィルスに感染した従事者が素手で焼き上げた後の海苔の裁断作業していたため、ノロウィルスが手から海苔に付着することで発生した事件でした。
水分活性の低い海苔は、それほど微生物のリスクが高くないという思いこみがあったのでしょう。
結果、しかしその盲点をつかれ、乾燥に強く少量で発症するノロウィルスによる大規模食中毒が発生したのです。
そして恐らくは、先に挙げたパンも同様でしょう。

このように、加熱殺菌された後の製品の取り扱いによってウィルスを付着させてしまうことが最も危険です。
素手による取り扱いは当然ながら問題外ですが、他の微生物対策同様、器材などを介しての交差汚染、空気中に飛散するウィルスの汚染などにも気をつけるようにしてください。
特に使用した調理器具は、しっかりと洗浄した後、200ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液に5~10分しっかり全体を浸し、その後流水で十分すすぐようにすることが必要です。

手指洗浄は微生物管理の基礎中の基礎

手洗いの重要性は、今ここで言うまでもないことでしょう。
例え洗浄設備が完備していても、その手法やタイミング次第で結果は大きく変わってきます。
手袋をするからとないがしろにしてはいけません。手袋を外すときなども鑑み、しっかりと流水、および石けんを用いて洗い流すことが重要です。

また掲示などで示されているルールが形骸化している、という工場も時折みられます。張り出されているルール通りに、従事者が手洗いを行っていない、という状況のことです。
しかもそれを管理者が気付かない、その重要性に気付いていない、というケースすら見られることがあります。
各工場のルールに従って手洗いが行われているか、確認するようにしましょう。

従事者の健康状態をチェック、把握する

ノロウィルス対策は、個々の体調・健康管理が重要です。
よってしっかり入場時に自己申告出来る体勢作りが必要になります。
体調の善し悪しは勿論、以下についての異常がないか、出勤時にチェックできるようにしてください。

従事者の健康確認項目
  • 下痢や腹痛などの異常の有無
  • 吐き気の有無
  • 発熱の有無
  • その他体調不良
  • 家族・同居者の食中毒の有無

 

ノロウィルスを「やっつける」

加熱による失活

ノロウィルスは多くの微生物同様、加熱によって失活化させることが可能です。
よって加熱処理による失活化がノロウィルス対策として非常に有効です。
ただし他の細菌よりもやや高めの温度が必要です。
ノロウィルスの場合、90度以上で90秒加熱しないと失活出来ません。

塩素系薬剤による失活

ノロウィルスはエタノールや逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)では失活出来ません。
殺菌する場合には次亜塩素酸ナトリウム溶液などの塩化系薬剤を用いるようにしましょう。
その場合、200ppm以上の濃度が必要になります。

ノロウィルス対策もマネジメントシステム的に考えよう

以上がノロウィルスの対策になりますが、これらは先の厚生労働省のページにも細かく書かれていますので、そちらをよく読んで頂ければそれでいいかと思います。
寧ろ今回、私が言いたいのは、以下のことです。

結局ノロウィルスも個別の対策をただやみくもにやるのではなく、しっかり「仕組み(システム)」として運用し、「管理(マネジメント)」することが何より重要です。
つまり、ノロウィルス対策もまた衛生管理の一環である以上、HACCPなどと同様、マネジメントシステムとしてPDCAサイクルに則り運用していくことが大切だ、ということです。

ノロウィルス対策の要訣
  • 適切な健康チェック
  • 適切な手洗い
  • 適切な施設の清掃
  • 適切な器具類の洗浄
  • 適切な殺菌消毒
  • 適切な製品の取り扱い
  • 適切な加熱
  • 適切な緊急時対応(汚物処理)

 

マネジメントシステム的に考えれば、「適切な加熱処理」こそが「CCP」。ノロウィルスという危害への「重要管理点」でしょう。
そしてそれを汚染させないために、上のような様々な対策が必要になる。
よって、これらをしっかりと具体的にルール化させ(計画:P)、現場に落とし込み指導し(実行:D)、そのうえで検証(チェック:C)していく。問題があればまたルールを変更、改善する…。(是正:A)

そして先にも触れたように、検便とは、そのPDCAサイクルの中での「検証(C)」として行われてこそ、初めて意味があるといえます。
ここをはき違えてはいけません。
「うちはノロウィルスチェックとして検便をやっています」ではなく、「こんな仕組みで管理しています、その仕組みの効果検証として検便を行っています」が本筋であるはずです。
また資材の仕入れ先に対しても、このことは同様です。
そうでないから、刻み海苔のような事件が起こってしまったわけです。
(この件の場合、海苔のメイカーが委託していた別の製造メイカーで、汚染が生じてしまった)

具体的な対策のあれやこれも勿論重要ですが、それもまたこうした基本的な考え方こそがまずありきだということを肝に銘じるべきでしょう。

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