工場で最もポピュラーに使われている防虫機器、捕虫器(ライトトラップ)。
前回までで、どこに設置すればいいかを学んでいただけたかと思います。
今回はそれらに従い、実際に現場に設置、メンテナンス、トラップ交換を実施してみましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことのできない真髄中の真髄、
プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教え致します。

捕虫器の設置方法

さて、これまでの捕虫器の基礎知識を経て、実際に捕虫器の取付と具体的な取り扱いについてお話致します。
まだこれまでをお読みになってない方は先にそちらからお読みください。

捕虫器の設置方法は、その多くが「壁面に専用金具やフックを取り付けて固定する」というスタイルを採用しています。
ですからほとんど多くの場合が、壁面に穴を開けてビスなどで取り付けることになります。
よって設置する壁面にはそれ相応に捕虫器の重量に耐用出来る強度が必要になります。
もろい壁面では、最悪の場合捕虫器が落下しかねません。

またこうした場合、天井にフックを取り付けてチェーンなどで捕虫器を吊り下げる、という手法もないわけではありません。
しかしこちらも多くの場合は、やはり「壁付け式」同様、天井に穴を開けてフックなどを付けることになります。
但し例外として、パイプやケーブルラック、H鋼などが通っている場合、強度次第ではありますがそこにチェーンを掛けて吊すことも可能です。
この場合、穴を開けるなどの工事が不要になりますが、ただしその場合(繰り返しになりますが)、捕虫器の重量やメンテナンス方法などを考え、しっかりと強度を保てる箇所に取り付けることが原則です。

また捕虫器によっては、床面にアンカーを打って、あるいは専用のキットを用いたりして設置する、ないしは軽量、小型の場合そのまま床に置く、などといった「据え置き式」を取ることもあるかもしれません。

いずれにせよ、これら設置種には防虫機能上の優劣はありません。
純粋に、捕虫器の構造や形状、目的、あるいは設置する下地の差異でしかありません。
よって捕虫器の取扱説明に従うか、或いは割と多くのメジャーな捕虫器は、そもそも設置手法を選べたりするケースが多いことでしょう。
その場合には、下地や状況、電源箇所や設置工事のしやすさなどを考慮の上、どちらが適しているかを選んでいただいて構いません。

捕虫器の設置方法

多くの捕虫器の設置工事は、実はそれほど難しいものではありません。
ちょっとした道具と工事手順の知識さえあれば、まあ手先がある程度器用なら難なく設置出来るケースが多いかと思います。

それでは実際に捕虫器を設置してみましょう。
今回は、「壁付式」の捕虫器を設置してみましたが、「天吊り式」も、ほぼこれと変わりません。

必要機材例
  • 捕虫器一式(捕虫器本体、専用取付金具、誘虫ランプ、捕虫紙、ビス類)
  • インパクトドライバー、ドリル類(※下地に適したものを選ぶこと)
  • ドライバー一式
  • ビス、アンカー類一式(※下地に適したものを選ぶこと)
  • 脚立
  • ゴミ袋
  • レベル(水平器)
  • 延長ケーブル(必要に応じて)
  • 下地センサー(必要に応じて)
  • 養生用具一式(養生シート、養生テープ、マスキングテープ、マスカーなど)
  • 清掃用具一式(ウェットペーパー)

 

工事の前準備

まず準備です。
周囲の物品を移動させ、安全な状況を整えます。
工事をすると、どうしても壁材やビスなどの異物混入要因が生じやすくなります。
また高所など清掃の届きづらい箇所にある埃やゴミ、不要物の落下なども考えられます。
よって資材や製品の付近で行うことは、自らそのリスクを犯すことになりかねません。
こうしたものは極力遠ざけておくようにしましょう。
少なくとも設置箇所から半径1メートル内は作業スペースとして設けたいものです。
勿論ですが、製造時の工事は、特殊な場合を除いて極力控えるほうがいいでしょう。

なお、機材類の充電や、ドリルの歯、ビス類のスペアは用意しておくようにしましょう。
加えて、脚立の安全点検と清掃も忘れないように。
安全面でもさることながら、点灯などは製造への影響も考えられるでしょうし、工場内や清潔作業区域に汚れた脚立を持ち込むことも控えるべきです。

また設置箇所によっては段ボール包材の持ち込み制限が生じることもあります。
その場合、場内ルールに従って、持ち込み方を調整するようにします。
くれぐれも場外の土壌などに置いた包材のまま工場内に持ち込むことは控えましょう。
土壌由来昆虫の持ち込みは意外と多いものです。

下地、電源の確認と養生

設置する箇所の電源と下地を確認します。
それによって使用する器具が変わってきます。
場合によっては下地センサーなどで調べることになるでしょう。
これによって、壁面内の電源を誤って傷つけることが避けられます。

続いて、養生です。
作業スペースにシートを敷くとともに、壁面にマスカーを設けます。
中空ボードなどに設置する際には、壁材片が飛散しやすくなります。

取付金具の設置

準備が終わったら、いよいよ取付工事の開始です。
まずは壁面に、捕虫器の取付金具を設置します。
設置箇所は既にお話した通りですので、それに従ってください。

もし取付箇所の下地が中空ボードなどであれば、予めアンカーなどを打ってそこにビスうちで取り付けることになるでしょう。
コンクリートなどでも、専用のアンカーなどが必要になります。
それぞれ場所に適した部材をご使用下さい。
もし詳しく判らなければホームセンターなどで聞いてみるといいかもしれません。
その場合は捕虫器の大きさと重量を予め調べておいておくと便利です。

なお穴を開ける際に生じるボードやコンクリの粉が飛散しないよう、下にごみ袋で受けるとよいかと思います。

捕虫器本体の設置準備

設置金具を取り付けたら、捕虫器本体の設置です。
これは各捕虫器の取扱説明書などに従うようにしてください。
ですが、その前に多くの捕虫器は本体の準備が必要になります。
まず工事時に誘虫ランプを破損し割ってしまわないように、これを外します。
外したランプは割れない箇所に保管しましょう。

なお、捕虫器が傷防止用の保護フィルムで覆われている場合は、設置前に剥離するようにしてください。
時折これを剥離せずに使用しているケースを見かけますが、剥離シートは劣化破損がしやすく、異物混入要因になりかねません。

また捕虫器によっては、設置前に左右の向きを予め選んで準備しておく必要があるタイプのものがあります。
これは電源ケーブルの向きなどに関わります。
ここら辺は捕虫器によりけりですので、取り扱い説明に従ってください。
(下画のような捕虫器では、右側にコンセントがあるように向きを変えている、ということです。)

本体設置とケーブル接続

取付金具を設置したら、そこに本体を設置し、100Vコンセントに電源ケーブルを接続します。
この場合、都合よく付近に100Vコンセントがあればいいでしょうか、必ずしもそうとは限りません。
よって延長ケーブルの使用などがまま生じます。

ランプと捕虫紙の設置

最後に誘虫ランプをセットし、捕虫紙をセットし、ここで電源をオンにします。
これで完成です。
なお撤収時には最終確認として、ビスなどの紛失がないか確認しましょう。
同時に、高所で生じた壁材の落下が放置されていないかも確認します。
例えば、ドア枠の淵上や、高所に伝っている配線モールなどの凸部にそれらが残っている場合がよくあります。忘れずにウェットペーパーで拭き取り、除去しましょう。

おっと、一つ。
捕虫紙には大概、設置日を書いておく欄があるはずです。
設置日をここに書いておきましょう。
後にトラップを交換する際、どのくらいの期間でどのくらいの虫が捕獲されたかがそれで判ることでしょう。これは非常に重要なモニタリングデータとなるからです。

捕虫紙の交換と消耗品について

捕虫器の消耗品は、「捕虫紙」と「誘虫ランプ」、そしてその誘虫ランプの点灯にともなうスターターのための「グローランプ」です。
「捕虫紙」はモニタリング頻度に伴って交換します。
おおよその目安は年間を通じて1ヶ月に1回だと思ってください
また「誘虫ランプ」と「グローランプ」は、半年に1回の交換となります。

捕虫器は、メンテナンスフリーの機器ではありません。
とくに誘因した昆虫をとらえる捕虫紙は、定期的に交換が必要です。

捕虫紙の交換方法は、捕虫器によって大きく異なりますが、いずれにしても基本的にはそれほど難しい作業ではありません。
およその場合、粘着式の捕虫紙のその粘着性を露わにし、捕虫器に固定する、といった作業になります。

例えば上のような捕虫紙の場合、覆われている白い保護シートを剥がして捕虫器に設置します。

このような捕虫紙は内部に巻き取られていますので、それを引っ張り出して使用します。

いずれにせよ、指定欄や空いている裏面などに交換日を書いて、モニタリングを実施します。
上にも書きましたが、こうすることでモニタリング期間が明確になります。

そして。
かなり重要なことなのですが、実はこの作業のしやすさこそが捕虫器の機能の一つ、メンテナンス性の要になります。
つまり、優れた捕虫器とはメンテナンス性が高い、すなわち捕虫紙交換作業がしやすいものとなります。
不思議にもこのことは意外と抜け落ちがちなのですが、しかし非常に重要な要項です。

考えてもみてください。
この捕虫器を設置したら、定期的なこの作業が発生します。
毎月1回はこの作業をしなければいけません。
そのとき、作業がしづらい捕虫器はどうなるでしょう。
はっきり言って、高確率で放置されることになります。
つまり捕虫器としての機能が果たされなくなるわけです。

私は長年の間、衛生管理屋、防虫管理屋としてほぼ毎日、この作業をしてきました。
(これを書いている本日や、昨日、そして明日もです!)
メンテナンス性の重要さが身に染み込んでいます。
しかし多くの捕虫器のメイカーはそれが判りません。
なぜなら、彼らは機器の研究はするが、それを使うことまで知らないのです。
勿論、全てがそうだとは言いません。
しかしこのメンテナンス性を重視している捕虫器は、はっきり言ってこの業界に屈指のみです。
中にはよくこんなものを製造・販売しているなと呆れ返るほどメンテナンス性の低いものすらあります。
捕虫器は、ただ虫を多く捕まえ、ただ頑丈で、ただ大きく、ただそこにあればいいのではないのです。

捕虫器本体の交換時期

このような捕虫器ですが、やはり機械ですので寿命というものがあります。
よって、それぞれ捕虫器ごとにその寿命である交換時期は異なります。
やはり湿度が高いところ、環境の厳しいところでは寿命が短くなる傾向があります。
おおよそ5~6年程度としているメイカーが多いのではないでしょうか。
尤も、誘虫ランプが点灯しているのにそれ以上使えないのかと問われると難しいところかと思いますが、しかし発熱、不安定化などの危険から、それ以降の使用は自己責任となることが多いかと思います。
いずれにせよ、寿命かと判断したら、或いはその時期になったら、早急に本体交換すること。
それが安全面でも衛生面でも賢明なことかと思います。

捕虫器の基礎知識まとめ

以上、これまで捕虫器の基礎知識について、長らくお話をしてきました。
それは、工場の防虫管理の要になるハードウェアがこの捕虫器だからに他なりません。
とりもなおせば、工場で防虫管理を始めようとなった時に必ず必要になるもの、それがこの捕虫器だということです。
決して高額なものでなくてかまいません。
私が日々強く推奨しているものも、実費で1台あたり本体価格2万円いかないものです。
私は別に捕虫器販売屋ではないので彼等メイカーとは利害関係がありませんから、プロとして「絶対お薦めの捕虫器と、絶対買ってはいけない捕虫器」の記事を、近くに書きたいと思ってます。
しばらくの間、お楽しみにお待ち下さい。

■□貴方の工場・店舗で悩んではいませんか■□
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高薙食品衛生コンサルティング事務所にようこそ
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