工場で最もポピュラーに使われている防虫機器、捕虫器(ライトトラップ)。
今回は、前回の捕虫器の特徴を踏まえた上で、もう少し具体的な設置箇所の選択について、現場に即しながら考えてみましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことのできない真髄中の真髄、
プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教え致します。

捕虫器を設置してはいけない個所

これまで捕虫器の基礎知識を、かなり詳しくお伝えしてきました。
まだ読んでいない方は、そちらからお読みになってください。

以上の知識を踏まえて、更に話を進めましょう。

それでは捕虫器はどのような場所に設置するのがよいでしょうか。
以下は、メイカーではなく日々(それも十年以上)使っているプロの意見です。
よってその中には経験による実感を伴った、メイカーには判らないこと、メイカーが言わないことが含まれているのでチェックしてみてください。

捕虫器を設置してはいけない箇所
  • 外部(ドアや窓など)に誘虫ランプ灯火がダイレクトに漏洩するような箇所
  • 資材・製品動線の直上から1m以内の箇所
  • 作業台や保管場所の直上から1m以内の箇所
  • 侵入昆虫がラインをまたいで誘引してしまう箇所
  • 床から高さ2m以上の箇所(飛翔性昆虫能力の低い昆虫が捕獲できない箇所)
  • 空調の吹き出し口の付近(昆虫が誘引された際に空調の送風などの気流により流されてしまうような箇所)
  • 今後資材や包材などを高く積み上げる予定や可能性のある場所
  • メンテナンスをするのが困難な場所(捕虫器付近に脚立を立てづらい箇所、周辺に物を置けないような箇所)
  • 重要なラインの真横を横切らないとメンテナンスが出来ないような場所
  • ダイレクトに水や蒸気、飛散した粉体などを浴びる場所
  • 加熱エリア内の温度が高い箇所
  • 清掃(周囲の虫の死骸除去やクモの営巣除去など)のしやすい箇所

 

どうでしょうか。
かなり現場に即した箇所になっていると思います。
特に後半は、実際に作業や運用をしてみて、初めて気付くようなものばかりです。
そもそも、この機械はメンテナンスフリーではありません。
それどころか、日々のメンテナンスや消耗品交換、チェックや清掃が必要な機械です。
それを踏まえて、取付箇所をチェックするべきなのです。
メンテナンスの出来ないところ、しずらいところ、することでリスクが生じるような箇所に設置することはしてはいけません。
また高湿度環境もさることながら、温度の高い箇所でもまた捕虫器の機能が果たしきれないことが多いです。
よってフライヤーの付近などでの使用は避けたほうがよいでしょう。

それともう一点、経験上から。
これは外部隣接エリアなどにて時折起こることですが、そもそもこれら捕虫器は虫を呼び寄せて多量に捕獲する機械です。
よってこれらの虫を補食する虫の、格好の営巣場所になることがあります。
しばしば起こり得るのが、捕虫器周辺でのクモの営巣です。
つまり、光で誘引された虫を捕食しようと、クモが営巣するのです。

クモを有害な虫を食べてくれる益虫だと思っている人が多いですが、工場の防虫管理上においては、その考えは一旦捨ててください。
工場の防虫管理においては、クモはちと面倒臭い内部発生可能種です。

まず、多くのクモは虫を捕らえ、その体液を吸います。
吸われた虫の死骸は散乱されますので、当然その死骸が異物混入要因となります。
しかも飛翔性昆虫を主に餌とするため、高所でも巣を張ります。
よってその危険性は更に高まりますし、クモ自身が落下して異物混入になることもあります。
また営巣するので当然、繁殖のため内部発生もするでしょう。
同種のクモが付近箇所で捕まり始めたら、この危険性を疑う必要があります。
この他幾つかの理由も重なって、クモほど面倒くさい虫もいないというのが、実は防虫管理屋の本音です。
医薬品工場のような清浄度を特に求められるような工場でも、割りと最終的に問題になりがちなのがこのクモだったりするくらいです。

捕虫器の設置個所

捕虫器を「設置してはいけない」箇所はよく判ったかと思います。
ということは、捕虫器を設置すべき箇所もすでにお判りのことでしょう。
それは、以下のような箇所にです。

捕虫器の設置箇所
  • 床から高さ1.6m~2mに設置する
  • 資材・製品動線の直上から1m離れた場所に設置する
  • 作業台や保管場所の直上から1m離れた場所に設置する
  • ラインをまたいで昆虫を誘引しない箇所に設置する
  • 外部(ドアや窓など)に誘虫ランプ灯火がダイレクトに漏洩しない箇所に設置する
  • 比較的エリア内を広く誘引出来る箇所に設置する
  • 100V電源の取りやすい箇所に設置する
  • ラインや製品に近づけず、出来るだけ室内の入り口付近で捕獲する
  • メンテナンスやトラップ交換作業のしやすい箇所に設置する(付近に脚立を立てて作業出来る箇所)
  • メンテナンス時に生じるリスク(昆虫の落下、ランプの破損、受け皿の埃やゴミの落下など)に大きな影響を受けない箇所に設置する

 

まず捕虫器は、原則的に床から1.6m~2mの高さに設置するようにしてください。
このぐらいの高さが、場内を広く誘引しながら、飛翔能力の低い昆虫も捕獲できるレベルとなっています。
それと、異物混入リスクの要因になってしまうような箇所には設置しないことが大原則です。
同様に、先のように外部から不必要に昆虫を呼び込んでしまうような箇所も避けるべきです。

ですが、そうなると設置箇所が制限されすぎてしまいます。
そこで、妥協策が出てくるわけです。
最低限、ダイレクトな外部への灯火漏洩は避けるべきであろう。
そのためには捕虫器の向きや設置角度を変えたり、その半分を何かで覆うなどといった対応が、場合によって必要になります。
尤もここら辺は、実はプロならではの工夫の範疇だったりしますが。

またこうした状況をしっかり判って対応出来ているメイカーは、やはり現場の声や使用者の意見、フィールド実験の結果などを取り入れて試行錯誤とモデルチェンジを繰り返し、非常に優れた捕虫器を作っています。
よってそうした捕虫器を選ぶ、というのが最終的には賢い選択となるでしょう。
とはいうもの、そうした捕虫器は山ほど出ている捕虫器の中で、たった2種類しかありません。
それは古参の○○○○と、業界大手の扱っている○○○○○の2つなんですけどね。
(近く、「買うべき捕虫器」を具体的にメイカー名を出してお教えします。
はっきり言って、食品工場においてはそれ以外は選ぶメリットがほぼないので、やめておいたほうがいいと思います)

設置後、どのようなメンテナンス・点検が必要になるのか

これを知らないと、ただ設置したはいいけれど、放置という話になります。
捕虫器は、基本的に以下のメンテナンス・点検が普通は必要です。

①月1回の、月度点検
②消耗品交換のための、6ヶ月に1回の年間メンテナンス

各々、どんなことをするべきでしょうか。

月度点検項目
  • 捕虫紙の交換
  • 月例モニタリングの実施日記録
  • 捕虫器内部の落下昆虫除去、及び捕虫器本体清掃
  • 誘虫ランプの点灯チェック
  • 劣化部品のチェック
  • その他不具合チェック

 

まず月例点検は、およその日を決めて、毎月その前後数日以内にすべきです。

そもそもモニタリングはおおよその場合、月度単位で行うことが多いと思いますし、それ以上ではモニタリングにおける「継続監視」のスパンが長いため、大きく精度を落とすことになります。
つまり月度のメンテナンスは、これらを主目的としながら幾つかの点検作業を兼ねて実施されます。
その際、上のようなことを実施します。

更に半年に1回、下のようなメンテナンスを実施します。

年度メンテナンス(6ヶ月に1回)
  • 誘虫ランプの交換
  • 消耗品パーツの交換
  • 故障確認

 

6ヶ月に1回のメンテナンスのメインは、誘虫ランプの交換です。
あの青白い誘虫ランプは、ただ点灯しているだけに見えますが、しかし実際その誘引効果はどんどん低下します。
実際には、6ヶ月でその誘因効果はほぼ80%低下する、と言われています。
つまり、あの青白い誘虫ランプの寿命は6ヶ月であり、そこで交換する必要がある、ということです。
よって、半年に1回のメンテナンスでは、これを交換することに主軸が置かれます。

これらは必ず自身の工場の捕虫器のメンテナンス予定として、組み込んでおいてください。
さもないと捕虫器は、ただそこに取り付けられているだけのものとなります。

 

キリのいいところで、今日はこの辺で。
次回は、この捕虫器を実際にどのように取付工事を行い、日々使うのか、その実践編をお教えいたします。

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