食中毒の発生時、あるいは漏水や雨水の浸水などが生じた場合、どのように殺菌消毒を実施すればよろしいでしょうか。
その手順を、今回は前編・後編の二部構成でお教え致します。
尚、こちらは二部構成の「前編」になります。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 漏水の殺菌消毒作業は、ある程度の知識さえあれば、工場や店舗などで自分で行うことが可能である
  • 使用する薬剤は、次亜塩素酸ナトリウム、エタノール、ベンザルコニウム塩化物、消臭剤など、一般的に殺菌用に用いられるものでよい
  • 殺菌消毒作業のコツは、①大まかに全体を殺菌し、②次にライン中心に需要な箇所を殺菌し、③ピンポイントで汚染した可能性のあるもの、製品に触れるものを殺菌する、ことである

 

 

万が一の緊急殺菌消毒作業について

先日、あるお客様から、緊急の電話連絡が入りました。
なんでも工場が止まっていた週末の間に配管の破損部から上水が漏れ出し、工場内が水浸しになってしまった、というのです。

実は私達、こうしたケースは時々相談を受けることがあります。
今回のような設備の不具合などによる場合もあれば、或いは、最も多いケースとして台風などでの天災による浸水のため、工場内を汚水が汚染してしまう、という状況です。

ちなみに、このような漏水に対する緊急殺菌消毒作業を、我々のような業者に依頼した場合、およそ数万円~数十万円程度の料金が発生します。
小規模だとしても、プロの技術員が派遣されて専門の現場作業を行うのです。当然ながら人件費も出向費も発生します。

明らかに大規模な水害や、汚物による汚染がひどい場合、もしくはバキュームなどの吸水作業が必要なほどに多量の漏水が生じている場合は、確かに専門家に任せるべきでしょう。
ですがこのような余程状況が酷い場合を除いては、はっきり言ってご自身で対応可能な場合が多いです。
また後述しますが、何よりこうした作業の知識は、食中毒が生じたときの即時対応にも大きく役に立ちます
よって衛生管理に関わる業種の方は、これらのことを知っていて損することはまずないでしょう。

にも関わらず(専門家が少ないのか)、意外とネット上にもこれらに関する対応法が見当たらなかったので、ここでぼくがお教えすることにしました。

殺菌消毒作業に必要な薬剤

まず最初に、こうした場合の緊急殺菌作業において用意すべき、必要な資材についてお話しておきます。

見ればお判りでしょうが、食品工場においていずれも準備出来ないものでは全くありません。
それほど特殊な薬品を使うわけでも、また機材を使うわけでもありません。
つまり、有る程度準備と対応が可能なものである、ということをご理解ください。

使用薬剤
  • 次亜塩素酸ナトリウム
  • エタノール
  • ベンザルコニウム塩化物
  • 消臭剤

 

次亜塩素酸ナトリウムとエタノール、ベンザルコニウム塩化物、この3つは代表的な殺菌剤となります。
…と、わざわざ衛生管理に携わっている方にかしこまって今更言うまでもないとは思いますが、でも知らない方々は、一応覚えておいてください。

まずはこれから。


Ciモール

お馴染み、次亜塩素酸ナトリウム、通称「次亜(ジア)」。


Amazon

逆性石けんでお馴染みの、ベンザルコニウム塩化物、通称「塩ベコ」。
「ベンザル」や「塩ベン」と略する人もいますね。

これらの薬剤はお手持ちがなければ、簡単に薬局や通販で買うことができます。
「amazon」でも「モノタロウ」でも扱ってます。
別にアフィリエイト張ってるわけではないので(笑)、上のリンクからどうぞお好きなものをお求め下さい。
正直言って、別にそれほど効果に製品差があるものでもありません。

なお、これらの薬剤の特徴については、後編でゆっくりと解説いたしますので、そちらをお読みください。

 

殺菌消毒作業に必要な資材・機材

続いて機器、資材関係です。
まあ大体このようなものがあればいいかと思います。

使用機材
  • 床用スクイジー、モップなど(漏水除去ができる清掃機材)
  • デッキブラシ、ホース、その他汚れ除去のための清掃用具
  • 不織布、ウエス、などの清拭用具
  • マスカーなどの養生シート(清掃用具基地や殺菌剤がかかってはいけない箇所の養生用)
  • 殺菌剤の噴霧器
  • ゴミ袋
  • 防護服(タイベック)、ゴム手袋、長靴、(場合によっては防毒マスクやアイシールドも)

 


アゼアスネット

どうでしょうか。
恐らくほとんどが現場で使われるものばかりだと思います。

基本的な作業の流れ

主な作業の流れは、以下の通りです。

作業工程
  1. 汚水の排出
  2. 場内の汚泥やゴミの除去、洗浄
  3. 汚水に触れた食材、資材の廃棄
  4. 浸水した機器や施設の洗浄、水切り
  5. 殺菌剤の使用種と使用量の算出
  6. 薬剤の準備(資材準備、薬液の希釈など)
  7. 殺菌消毒作業の実施
  8. 必要に応じて、消臭剤の使用
  9. 施設使用開始前の洗浄

 

あくまで作業の目的は、
「汚水の除去」(1~4)と、
それからの「微生物汚染に対する殺菌」(5~)
です。

まず手がけるべきは、汚水と汚物の除去。
これはもう自身にせよ、あるいは業者に任せるにせよ、人の手による作業となります。

といっても今回のように加工室で上水が漏水した場合は、それほど場内が汚れることはないでしょう。
しかし雨水が流入し、グリストラップが溢れてしまった、あるいは汚水や雑排水が逆流した、などといったことになればやはりある程度の微生物汚染に対する対応が必要になります。
この場合、対象となるのは一般細菌もしくは状況によっては大腸菌でしょう。
結果、すべき殺菌作業は大まかに次のようになります。

 

殺菌作業内容
  • 床面をはじめとした、場内全体に対する殺菌作業
  • 製造施設や作業施設などラインを中心とした、殺菌作業
  • 食材や製品に触れるものの、殺菌作業

 

つまり、

まず、大まかに全体を殺菌し
次に、ライン中心に需要な箇所を殺菌し
そして、ピンポイントで汚染した可能性のあるもの、製品に触れるものを殺菌する

といったところです。
ちなみにこれは、基本的には食中毒発生時の場内の殺菌作業の流れと全く同じ ですので、覚えておいてください。
(ただし使用薬剤は場合によりけりですが)

前編:まとめ

以上、大まかな作業の流れと、そのやり方はお判り頂けましたでしょうか。
作業自体はそれほど難しいものでもないことがお判りかと思います。

長くなりましたので、ではどんな薬剤をどのように使用するのか、その薬剤の特性を踏まえて後編でお話致します。

以上、このように当ブログでは食品衛生の最新情報やPCO、防虫対策の知識は勿論、その世界で長年生きてきたプロだから知っているテクニックや業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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