実際に弊社が見てきた様々な事例に基づいて、実学として防虫対策の要訣を学ぶ「防虫対策ケーススタディ」。
今回は、真冬に食菌性の昆虫であるヒメマキムシ類が発生した件について、一緒に学んでいくことにしましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

真冬のドライ環境でヒメマキムシ類が発生!?

ケーススタディ・ザ防虫対策。
ただ虫の生態や論文のパクリを乗せているだけの他と違って、「工場の現場で起こりやすいこと」、「実際に起こったこと」を例題事例とし、「実際に実施し、効果があったこと、なかったこと」「現場に即したリアルな対処方法」を、ここではお教えしてきます。

というわけで、今回のテーマは、こちら。

「真冬のドライ環境でヒメマキムシ類が発生!?」
です。

実は先日、とあるお菓子工場に防虫管理の調査に行ってまいりました。
本日のお話はこちらで実際に起きていたお話です。

こちらの工場、洋菓子を作っているため、場内施設に冷蔵庫・冷凍庫を備えています。
そのため付近エリアには確かにカビの発生があることは知っていました。

しかし。
今回、モニタリング結果を追ってみて、ふと気になる点を発見しました。
なんと、ドライ環境であり、隣接エリアに冷蔵・冷凍施設のないはずの箱詰め・仕分けエリアで、この真冬にも関わらず食菌性の昆虫であるヒメマキムシ類が集中して捕獲されているのです。

ヒメマキムシ類とは

まずは、ヒメマキムシ類のご紹介です。

ヒメマキムシ類
  • 微小な褐色の甲虫で、体長は1.0~2.0mm程度
  • 野外では、植物由来昆虫。樹皮下や枯れ枝、枯れ草などで、カビの胞子や菌糸などを餌にしている
  • 幼虫、成虫ともに食菌性
  • 主な活動期は、晩春から初夏
  • 工場の、カビの生えやすい箇所で内部発生する

 

ヒメマキムシ類は、チャタテムシ類と並んでの食菌性昆虫、つまり「工場内のカビから内部発生する昆虫」の代表例です。
とにかく、カビといったらチャタテムシ類かこいつ。
つまり、カビの胞子や金糸を食べる、微小な昆虫は幾つか種類がありますが、その代表例がこのヒメマキムシ類とチャタテムシ類というわけです。
逆に言うなら、ヒメマキムシ類が発生している、ということは何らかのカビの問題が進行している、と捉えてよろしいかと思います。

食菌性昆虫(主にカビなどから発生する昆虫類の代表例)
  • チャタテムシ類(有翅・無翅)
  • ヒメマキムシ類
  • ダニ類
  • トビムシ類
  • ハネカクシ類
  • ケシキスイ類
  • ヒラタムシ類

 

発生の諸条件がいずれも微妙に違うので主観が大きいかもしれませんが、私の経験上、上から順番にカビからの内部発生のしやすい昆虫となっています。

ヒメマキムシ類の内部発生事例

聞くところによれば、1960年頃、ヒメマキムシ類が日銀の倉庫で多量に発生し、新聞報道されたことがあるそうです。
今でこそこの件は、倉庫内のカビから発生したのは間違いないと想像できるところですが、まだ生態がよくわからなかった当時は紙幣を食べる虫として新聞報道され、話題となったという話です。

尤も、倉庫内のカビからヒメマキムシ類が発生することは珍しくありません。
私も、とある製薬工場の倉庫兼地下ピット(?)での多量発生を調査したことがあります。

また、マンションや住宅で発生する例もよく聞く話です。
木造アパートなどと比べ鉄骨マンションは構造上、気密性が高いため壁紙のノリの水分の乾燥が遅れがちな場合があります。
すると、壁紙の内側の水分からカビの発生に至るケースがあるのです。
やがてそのカビを求めて床面の立ち上がりの幅木の隙間からヒメマキムシ類が入り込み、壁と壁紙の間のノリを食害し、営巣して繁殖するのです。
こうしたケースはチャタテムシ類でもよく聞きます。
(私も対応したことがあります)

しかしヒメマキムシ類は、どちらかといえば、いかにもジメーっとしたカビ臭い場所や、或いはビシャビシャのウェット環境というより比較的ドライなところでも発生する虫であるような気がします。(注:経験上の主観です!)
少なくとも、「いかにもジメーっとしたカビ臭い場所や、或いはビシャビシャのウェット環境」には恐らく有翅のチャタテムシ類やカビ由来のダニ類が発生することでしょう。
ヒメマキムシ類が全くそうした箇所で発生しない、とは言いませんが、もう少しドライでも発生してしまう虫であり、そうしたところが寧ろ厄介である…というこれは一応の、個人的印象です。
恐らくは、湿度や温度にこうした差のヒントがあるのでしょう。

工場内でもしばしば内部発生するヒメマキムシ類

勿論、食品工場でもヒメマキムシ類の発生は頻繁に耳にします。
例えば、冷蔵庫付近の結露や、パッケージエアコンの周辺などといった、温度差の大きな箇所で発生したカビを要因として内部発生を進めるのが、このヒメマキムシ類です。

工場の天井裏で発生

以前、パン工場で天井からぽろぽろとヒメマキムシ類が落ちてくる、ということで調査の依頼を受けました。
調べてみると、天井埋め込み式のカセットエアコンの四方からちょろっと出てくるのを見かけたのです。

問題の部屋はサンドイッチを作る工程であり、そのため室温を16度に設定していました。
時期は夏近く。天井裏はかなり熱をため込んでいるものの、エアコンの機会周辺だけは低温という状態。他の天井には断熱加工がなされていたのですが、このエアコン周辺だけ機械がむき出しだったのです。

基本的にこうしたエアコンメイカーさんはこうしたことを考慮して設計していません。(当たり前ですが)
そのため様々な問題が実は起こりがちなのですが、これも同様のケースでした。
エアコンの周辺にカビが発生し、ヒメマキムシ類の発生源となっていたのです。

また天井埋め込み式のカセットエアコンは、天井のパネルを切って、そこにガッコンとはめこむタイプがほとんどです。
つまり、エアコンと天井パネルには隙間が生じやすくなります。
少なくとも、体長数ミリ程度のヒメマキムシ類がぽろぽろ入りこむ程度の隙間は多分にあるというものです。
結果、そこから発生したヒメマキムシ類が、サンドイッチを作る室内の作業テーブルの上に無数に落下するような状態が生じていたのです。
実はこうしたケース、決して珍しくありません。

段ボール包材から発生

またこれは冷凍食品工場での出来事でしたが、段ボールに収納して長期保管物を置いていた保管棚の下で発生したこともあります。
原因は長らく段ボール包材を置いていたため、隣接のモップ洗い用シンクの飛散水が段ボールに飛んでカビの要因となった、といったことでした。

そもそも段ボール包材は、多量の澱粉ノリを使って紙を貼り合わせることで製造します。
よって水が付着するとその澱粉がカビの要因となります。
先の壁紙の話もありましたが、澱粉は養分が高いため、昆虫の発生要因になりやすいのです。
(ちなみに段ボール包材の再生紙工場ではそのデンプンによって、多量のチョウバエ類が発生しています)

この話は、今回のケーススタディのヒントになるかもしれません。
なお、包材を床置きしている工場はこの危険性をしっかり踏まえるようにしてください。

 

少し長くなってしまいました。
まずは前編ということで、昆虫の説明とともに、いくつかの事例をお話しました。
本題を次回に譲りたいと思います。

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