前回の前編では、管理基準値や処置基準値といった防虫管理上の達成目標となる基準値についての基礎知識をお伝えいたしました。
それではこれらを実際に御社工場に当てはめて定めていくことにしましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
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基準値の定め方

前回、管理基準値と処置基準値について説明させていただきました。

 

防虫管理上の基準値
  • 管理基準値(アラートレベル)
    …防虫管理上、管理目標となる評価の基準値。これを越えた場合、警戒が必要。
  • 処置基準値(アクションレベル)
    …防虫管理上、非常に危険な状況となる基準値。これを越えた場合、是正措置が必要。

 

では、こうした管理基準値(アラートレベル)、処理基準値(アクションレベル)は、一体何に基づいて定めればいいでしょうか。

実はこの基準自体に決まりはありません。
というのも、昆虫は微生物と違って危険予測が難しいため、「このくらい生息していたら危険だ」といった数値的根拠がないからです。

また工場の環境も工場それぞれですし、トラップの設置状況だって然り。
よって基準値を一様に設けること自体が非常に困難なのです。
その結果、各工場の状況を鑑みながら、自身の工場の管理目標を設定しているのが現実です。

とはいえ目安となるものをお伝えしておきます。
一応、以下を参考にしてみてください。

管理基準値の目安
  • 過去問題のなかったレベルでの大体の平均的捕獲指数
  • 内部発生が生じていない程度の捕獲指数
  • 外部侵入がほぼ見られていない程度の捕獲指数

 

処置基準値の目安
  • 過去大きな問題が生じたときの捕獲指数
  • 深刻な内部発生の問題が生じた場合の捕獲指数
  • 多量の外部侵入の問題が生じた場合の捕獲指数

 

もしこれまで昆虫相モニタリングをしてきた工場ならば、実際の捕獲データがあるでしょう。
その場合、夏季~秋季のデータ、とくに6~10月(およそどこの工場もこの辺りの時期が最も捕獲数が増え、問題が生じる時期でしょう)のものを見てください。
それらから、大体の基準値が導き出せるはずです。

実際の基準値例

例えば、ある製造室内に設置された捕虫器の、年間を通じての捕獲数がこのようなモニタリング結果だった工場があるとしましょう。

捕獲数値を月度推移グラフにしてみましょう。

この工場は、夏季に捕獲数が急激に上昇する典型例ですね。
つまり6月から捕獲指数の急増が始まり、秋季に次第に落ち着きに向かうという、比較的外部環境に左右されがちな工場です。
食品工場あるある、といいますか、この程度の捕獲指数が確認されている工場は結構多いはずです。

この場合、6月の上昇具合で目標値を決めていきましょう。
ただしその際、捕獲されている昆虫類をチェックしておくことが必要です。
少なくとも内部発生があるかどうかだけは確認しておいてください。

また夏季の急増は明かに問題でしょう。
これに準じて処置基準値を設定するとよろしいかと思います。

この工場では、6月以降、10月まで管理基準値(アラートレベル)の逸脱がみられています。
(下の図でいうところの、「B」ゾーンに入ったわけです)
また、7月と9月は処置基準値(アクションレベル)の逸脱が生じています。
(下の図でいうところの、「C」ゾーンに入ったわけです)
何か内部発生でも起きたのでしょうか。
この2つの月には何らかの是正措置プログラムが必要だった、ということになります。

基準値の目安と注意点

このようにして、過去のデータなどを参考にしながら各自の工場ごとの目標値を設定していくといいでしょう。
更に、一例ですが、次のような基準値を一応参考として示しておきます。
まずはこの程度を設定してみて、あとはそれぞれ各工場の現状にあわせ、調整するようにしてください。

見だし各基準値の目安
  • 管理基準値(アラートレベル):1.00~2.00(月度捕獲数約30~60匹程度)
  • 処置基準値(アクションレベル):10.00(月度捕獲数約300匹程度)

 

勿論、これに囚われる必要はありません。
それぞれの工場で、ご自身で定めてください。
ただし、2点ほど注意事項を。

これらの基準値は、厳しすぎても緩すぎても意味がありません。
とくに厳しすぎる目標を設定している工場が多いです。
厳しすぎる場合は、理想論過ぎて目標自体が絵に描いた餅になります。
理想を求めることはいいことかもしれませんが、目標としての機能が働かなければ本末転倒です。
最終的にそこを目指すことを上位目標として、まず最初は現実的な目標設定を行うことがポイントです。
翌年、少しずつ厳しくしていけばいいのです。

それと、もし難しいのであれば処置基準値は無理して設定しなくてもかまいません。
ですが、最低限でも管理基準値だけは設定するようにしてください。
なぜなら、防虫管理という「管理の目標」が失われてしまうからです。
「管理」は、「目的」、「目標」、「方針」があってこそ成立するものであり、「目標」のない管理はありえません。
これは防虫管理の大前提の話です。

まとめ

捕獲指数に基づいて、「管理基準値」(アラートレベル)と「処置基準値」(アクションレベル)を設定しました。
これによって、防虫管理の目指す目標が明らかになったかと思います。
次は、それを実際に行うためのモニタリングについてお話します。

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