平成最後の年、2019年が幕を開けました。
丁度今頃皆様は、年始最初の1週目の業務を手がけている頃合でしょう。
私共「高薙食品衛生コンサルティング事務所」も、今週より業務をスタートしたところです。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。

さて。
年始ということもあり、この2019年が食品衛生においてどのような年になるのか。
今回はHACCPの義務化を前にしたこの1年について、お話したいと思います。

2019年とは、HACCP義務化に向かっていく1年である

この2019年という1年を語るには、1年先の2020年の話抜きに進めることは出来ないでしょう。
なぜなら2020年こそが、この1年の最も重要なキーとなるからです。

2020年。
わが国でオリンピック開催を迎える来年に、この食品業界は大きな二つの義務化対応に、否応なく向かわなければならなくなります。
即ち、「HACCP義務化」と「栄養成分表示の義務化」です。
これらによって、2020年は食品衛生の大きな転換期となるだろう、
このことが既にこの業界における共通意識となっていることは、最早言を俟たないことでしょう。

そして、
特に食品衛生において多大な影響を与えるであろう事柄が、本日のお話のメインである前者、「HACCPの義務化」です。

昨年2018年3月、厚生労働省による「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」が始動。
そして同年6月、国会にて15年ぶりの食品衛生法改正法案が可決。
直ちに食品衛生法の一部改正法が公布される運びとなりました。

これによって(原則)食品業界全体に対しHACCP制度化が決定されたことは、皆様の記憶にもまだ新しいことかと思います。
その目的は幾つかありますが、政府としてはやはり何より食品衛生管理の国際標準化にあることでしょう。
オリンピックに向けて、そうしたグローバルスタンダードに則って我が国の食品業界が食の安全安心に取り組んでいるということを、国際的にアピールしたい。
そうした狙いがそこにあることは、確かなことです。

2020年という食品業界全体の転換期

またその一方で、2015年消費者庁所轄の食品表示法施行によって決められた「栄養成分表示の義務化」も、来2020年3月までがその猶予期間とされています。
これらのことから、今年の食品業者は来年2020年をリミットに、栄養成分表示とHACCP導入という二つの大きな取り組みという切実な課題に迫られる状態にある、というわけです。

更に加えるなら、同時に来年は生産者に対して東京オリンピックにむけたGAP(農業生産工程管理)の導入推進が強まることでしょう。
またもう少し先を見れば、すべての加工食品に原料原産地表示を義務付ける、原料原産地表示制度が2022年には始まります。
これは元々2020年を予定していたものですが、業界への負担配慮から大幅延期されたものでした。
つまりその対応が、来年の栄養成分表示の次に早くも待っている、ということになります。

以上の結果。
食品業はその規模の大小に関わらず業界すべての食品等事業者が、
~それこそ生産者をはじめ、製造加工、流通、スーパーマーケットをはじめとする小売業者、飲食店ら調理業者にいたるまで~
2020年というドラスティックな転換期を前にしている、といった状況です。
以上のことだけでも、2020年という年を前にして、今この食品業界が大きな変革の波に晒されている、ということがお分かりかと思います。
つまりこの2019年という年は、東京オリンピックという国際アピールの機会に迫られ大きな制度転換を迎える2020年の、前段階の1年となるに違いありません。

中小企業の困惑と負担の1年

HACCP義務化。
中小規模の事業者は、HACCP的な考えを取り入れた衛生管理の導入をせよ。(HACCPの弾力的運用)
そう言われて、いったい自分たちはこれから何をしたらいいのか。
現時点でそれを明確に答えられる食品業者は、そう多くはないと推測します。
確かにその改正以降、厚生労働省は各業界団体に働きかけており、既に各業種別の手引書を作成するなど、その導入指導に対して動き出しています。
しかし、実際の現場はそれほど普及が進んでいない、というのが正直なところでしょう。
2019年も、恐らくそうした状態が続くと思われます。

ただし2020年以降からは、違います。
認証取得は不要ながらも、しかし衛生管理計画の作成をはじめ、店舗などの小規模飲食店ですらHACCPの考えに沿った衛生管理(HACCPの弾力的運用)を否応なく求められることになるからです。
その結果、今後中小零細企業においては、多かれ少なかれ、コストはおろか手間や人的要因も含めたこれらの負担に悩みを抱えるところも少なくないでしょう。
2019年は、こうした困惑と不安を抱えながら、転換期である2020年に向かう1年である、というのは恐らく間違いないことだと思います。

しかしここで一応断っておきますが、HACCPを衛生管理に取り入れることは、別にイコール、ハイコストな施設導入が必要だ、というわけではありません。
これをよく誤解する方が多いのですが、「HACCPに沿った衛生管理」とは何も特別なことを行うわけではありませんし、ごく当たり前の常識的な衛生管理に、プラスアルファの基準作りや工程整備、記録作業などが加わるに過ぎません。
よくHACCPの話をすると、設備投資などの出費面や負担面のみを過剰に強調する方が一定数いるようですが、それは偏った意見としか言うほかにないでしょう。

それともう一つ。
政府はこうした負担や不安に対し、その軽減対策として「HACCP支援法」の2023年までの延長を決定させています。
これは中小企業においても衛生管理上の施設整備、機器資材の導入に対し、国が長期低利融資での金融支援を行う、というものです。
この法制度もまた、わが国のHACCP制度化確立を担うものとして、今後より求められていくことでしょう。

わが国の食品衛生管理レベルの全体的底上げ

確かにこうした先のような中小規模業者の大変さは、判らない話ではありません。
しかしだからといって、それらをHACCP義務化反対の言い訳にするべきでは、断じてありません。
HACCPの導入は遅れていた日本の食品衛生制度の国際化のみならず、業界全体の衛生レベルを大きく底上げし、この国の食の安全安心の基盤作りとなることは間違いないでしょう。
その意味でも、HACCP制度化は我が国の食品業界において絶対不可欠なことなのです。

そもそも、衛生管理制度における、HACCP導入のメリットは何か。
ひとつは、広域化、重大化する食中毒事故の未然防止。
そしてもうひとつは、食中毒事故が発生した際の迅速な原因究明の可能化。
そしてもうひとつは、それらをも含めた、わが国における食品衛生レベルの全体的な底上げ、でしょう。

少しばかり専門的な話になりますが、HACCPの導入となれば、まず最初に見直されるのは、当然ながら一般衛生管理(PP)です。
ここをないがしろにして、「HA」(危害分析)も「CCP」(重要管理点)もないわけですから、業界全体の食品衛生管理レベルの上昇はやはり高く期待したいところであります。

そしてこのことは小規模事業者を対象とした「HACCP的な考えに基づく衛生管理」についても同様です。
実際、業種別の手引書を見ればわかりますが、この段階的運用において小規模の事業者に最も求めていることは、HACCPそのものの導入ではなく、HACCPの考え方に基づいた一般衛生管理の整備です。
つまり、まずは現場の5S管理強化がありき。
で、その上で、HACCPのベーシックな管理を構築していきなさい、というわけです。

なお具体的には、チェック項目で「ここは管理しなさい」(=CCP)といわれていることに対し、管理上の計画書を作成し、実施したことを記録していけ、ということが、手引き書では強調されています。
つまりこれは「決めたこと(P)を実行(D)したら、それを記録し(C)、問題要因の究明可能化が出来る(A)ようにしなさいね」というHACCPのマネジメントシステム(PDCAサイクル)の最低限事項です。

我が国の食品業者の海外進出

HACCPは、ここ20~30年弱ほど長らくの間、食品衛生管理の要とされていながらも、しかし実際の認証については大手企業、あるいは海外取引のある企業など、一部の企業に限られていたのが現実です。
「存在はなんとなく知ってはいるけれど、大手企業が取得している制度」
HACCPに対し、これまで多くの業界の方々が持っていた意識は、精々この程度だったと思います。
農林水産省の調べですと、2018年段階でHACCPの導入率は食品企業全体の3割程度、しかもそのほとんどが大企業という実状ですから、何を況やといったもの。

では何故、HACCPの制度化がこれほどに遅れたのか。
それは日本の食事情はこれまで輸入ありきで、国内市場にのみ目を向けていれば良かったからです。
しかし今後は人口減少にともない、輸出に向かわなければ生きていけません。
つまりこのたびのHACCP義務化はわが国の食品衛生管理レベル上昇のみならず、今後の業界発展においても必要不可欠です。
何せ、国際規格としては最早日本は取り残された状態なのです。
事実、米国、ヨーロッパ、更にはカナダ、オーストラリアなど各国市場での義務化をはじめ、既にグローバルスタンダードになりつつあるにも関わらず出遅れた状態で、すでに先進国では、およそ日本だけが何の精度化もしていないような有様。
つまり完全に出遅れの状態だったわけです。

ちなみに、衛生管理も含めたこれほどの食品技術を持っていながら、日本は世界の食品安全ランキングにおいて10位以内にすらランクインされていません。
これは日本の食品は国際社会での「食の安全安心」において、はっきり言って落ちこぼれという扱いだということです。
ただし既にお判りなように、この敗因は技術レベルではなく、求められている行政制度にあります。
そして2020年の東京オリンピックは、こうしたものを一気に進める口上、とまでは言わないまでも千載一遇のチャンスに他なりません。
だからこそ、HACCPの義務化を政府が急ぎたがっているのです。

まとめ~転換期の始まり、2019年

いずれにしたって、食品業界全体において、HACCP義務化が2020年から始まります。
まさに食品衛生のビッグウェーブです(笑)。
いや、既にこれを見据えて、いち早く動き出しているという企業も、少なくないでしょう。
今年はこの動きがより顕著になる1年といえます。

もっと言うならば、HACCPが取引の最低条件化する時代は最早そこまで来ています。
第一、街の飲食店ですらHACCP的な衛生管理を行う時代ともなれば、市場の競争力はそれを認証取得している工場を求めるようになるに決まっていますよね。
こうして数年後には、HACCP取得は食品企業の必須のものとなっていくことでしょう。

事実、既に国際社会における食品市場ではHACCPどころか、それを土台にステップアップさせたISO22000やFSSC22000といった認証が常識化しています。
当然ながら、我が国の大手企業においても、2020年以降はそうした動きが躍進的に進んでいくことが予測されます。
大企業はHACCPからISO22000、或いはFSSC22000の取得へと更に上を目指し、
そして中・小規模業者はHACCPの導入が当然化する。
こうした流れは、2020年を境に、今後より強まっていくのは火を見るより明らかです。

そして間違いなく。
この2019年とは、そうした流れにおける最初の年となることでしょう。

 

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