冬だから食中毒は起こらない、なんて考えてませんか?
実は食中毒が意外と多く発生する時期というのが、この年末年始なんです。
今回は、そんな年末年始の食中毒について、食品衛生のプロの視点からお話したく思います。

冬に多い食中毒

あけましておめでとうございます。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
今年も、ここだけしか聞くことの出来ない「プロが本気で教える衛生管理」をお教えいたします。

さて、本題。
真冬のこの時期、これだけ寒ければ食中毒なんて起こらないだろう、
或いは、食中毒なんて夏だけの話だろう、
なんて思っている人は多いかもしれません。

しかし!
一般の方には意外かと思うかもしれませんが、実はこの時期が、年間を通じて最も食中毒が多い時期だというのが、我々食品衛生のプロの認識だったりします。

上のグラフは厚生労働省の集計した平成29年度の月度別食中毒発生件数比です。
これを見ると、冬季の食中毒の多さがわかることでしょう。

そうです。
感染力が非常に強いノロウィルスの急増、それが冬に食中毒が多い最大の理由です。

食中毒って?

前回の「おせち」の話でも触れ損ないましたので、
改めて簡単に「食中毒」の基礎的なお話について、先に触れておきます。

まず「食中毒」とは、

「有害、有毒な微生物や化学物質を含む飲食物を摂取した結果に疾患する、下痢や嘔吐や発熱などを主に伴う健康障害(中毒)の総称」

のことです。

その主な原因は「食中毒菌」などと呼ばれる微生物や、ウィルス、寄生虫、その他カビ毒や自然毒(キノコ毒やふぐ毒など)などによるものです。
ちなみに風邪や、或いは食べ過ぎなどによる健康障害は、食中毒には含まれません。

 

 

これらのうち、その発症件数の多くを占めているのが「細菌性食中毒」と「ウィルス性食中毒」であり、
またそのウィルス性食中毒の大半を占めているのがノロウィルスです。(厚生労働省調べ)

言ってしまえば、
「夏季は細菌性の、冬季はノロウィルスの食中毒が多発する傾向にある」
ということです。

特に近年においては、食中毒件数のうち、ノロウィルスが1位を、そしてカンピロバクター(感染型の細菌性食中毒)が2位を占める傾向が強まっています。

…とここまでは、ネットを調べればすぐに得られる情報でしょう。
しかし、必ずしもそうであるとは言い切れない、
つまり

「冬季、とくにこのお正月(年末年始)時期には、意外と様々な食中毒が起こりやすい」

というのが今回のお話のメインです。

何故年末年始に食中毒が多いのか

どうして、このお正月を含めた年末年始に食中毒が発生しやすいのか。
その理由は、以下の通りです。

年末年始に食中毒が多い理由
  • ノロウィルスの感染ピークを迎える
  • 会食の機会が増加する(忘年会、新年会その他)
  • 寒さや暴飲暴食などで胃腸に負担ががかり、体調不良或いは抵抗力が弱まりやすくなる
  • 飲食店や小売店が繁忙期を迎え、衛生管理の徹底が困難になりがちである
  • 食中毒への油断が緩み、普段の予防策が緩みがちになる

 

ノロウィルスの感染数は秋季(10月以降)から増加し始め、冬季(12~3月)にピークを迎え、春季とともにゆっくり下降していく傾向にあります。
実際のところ、一年を通じてノロウィルスの感染リスクはなくなるわけではないのですが、しかしやはり最も件数が多いのはこの冬場のことでしょう。

では何故、冬にノロウィルスの感染数が増加するのか。
その最大の理由は、冬場の「乾燥」にあります。
ノロウィルスは元来乾燥、低温に強いのが特徴です。
よって低温、乾燥環境でも生きられるノロウイルスは、冬に問題化することが多いのです。

しかもこれに、飲み会や忘年会、新年会などといった大勢が集まって会食する機会が増えることで、より一層感染のリスクが広まります。
またそのせいもあって、この時期、最も体調を崩しやすく、風邪をひきやすい時期となりがちです。
こうした抵抗力の低下が、更に感染を促します。

またこの時期、ノロウィルス以外にも、食中毒菌による食中毒が発生しやすくなります。
生ものを食べることが増える時期でもありますし、
繁忙期になるとどうしても飲食店などは衛生管理の徹底が難しくなりがちです。

年末年始の食中毒例

それでは年末年始の食中毒例を考えてみましょう。
例えば、近々ではこんな事件が起きています。

餅つき大会でノロウィルス感染

「小学校の餅つき大会で食中毒 20人からノロウイルス」

このように意外と多いのが、例えば餅つき大会などでの食中毒です。

成る程、餅つき大会には多くの人の手が食材(餅)に触れることになります。
特に素手で「返し」をする場合には、更に汚染拡散の危険性が高まります。
(加えて「返し」係が万が一黄色ぶどう球菌を保有している場合、「返し」用のぬるま湯内が菌で汚染され、それが餅に菌が付着、ということも考えられるでしょう)

またダイレクトな食材への接触はゴム手袋などで有る程度避けられるかもしれませんが、盲点になりがちな器具類、例えば杵やウスなどによる交差汚染(クロスコンタミネーション)も十分考えられるところでしょう。
更に、多くの方々が集まる中での餅つきは、ウィルスの飛沫リスクも高まることになります。

勿論、餅つき大会をするな、という話では全くありません。
(また折角のつきたて餅を食べず、予め喫食用に用意しろ、などというアドバイスは、そりゃそうでしょうけどさすがに味けないでしょうから/笑)
ただし最低限の注意と対策、例えばゴム手袋の徹底、危険性の高い方へのマスクや手洗いなどはするべきだ、ということです。
なおその際、アルコールではノロウィルスは防げませんから注意が必要です。

冬でもカンピロバクターには注意を

夏季のイメージが強い細菌性食中毒ですが、しかし年末年始にも注意は必要です。
先のように体調を崩しやすく、特に胃腸に負担のかかりがちなこの時期は、抵抗力の低下から少量の細菌でも発症可能な食中毒菌による食中毒の発症が起こりやすい時期になります。

例えば腸管出血性大腸菌、或いは鶏肉などに由来しやすいカンピロバクターなどが、その代表。
なかでも、冬の食中毒といったら、まずはノロ、それから次に少し開いてカンピロバクターじゃないでしょうか。

レバ刺し食べた2人が食中毒(カンピロバクター)

これなどはまさにその典型例ですね。
特にカンピロバクターは低温にも強く、4度前後でも長期間の生存が可能な食中毒菌です。
よって冬だから、或いは、冷蔵庫に入れて保存していたから大丈夫、といった過信をすべきでは絶対にありません。

それと、時折勘違いされた話を居酒屋などで耳にしますが、カンピロバクターは少量の菌数(最低で100個前後)でも発症します。
ということは、汚染された鶏肉はその鮮度に関係なく発症の危険を孕んでいる、ということです。
つまり、鶏の生食は、新鮮だから安全だということはありえず、ただのロシアンルーレットである、ということを覚えておいたほうがいいでしょう。

ちなみに鶏肉に関わる食中毒菌でもうひとつ有名なのは、サルモネラ菌です。
こちらは食品内で増殖することで食中毒を起こすのですが、カンピロバクターとは発祥菌数の桁が100倍くらいは違います。
確かに古くなった肉などはサルモネラの疑いが多分にあるでしょうが、しかし新鮮な鶏肉を食べて食中毒を起こした、という最近の事故はそのほとんどがカンピロバクターです。
更に言うなら、カンピロバクターは鶏肉の鮮度が高いほうが危険だったりするのです。
というのも、鶏の腸内菌であるカンピロバクターは空気に触れていくと次第に菌数が減っていくからです。

またカンピロバクターの食中毒自体は激しい嘔吐や腹痛に襲われるものの、1~2日程度で収まります。
しかしその後、ギラン・バレー症候群を併発し、重症化する恐れが実はあるという、非常に危険な食中毒菌でもあります。
(その場合、呼吸困難、麻痺症状などが数週間続く可能性もあります。カンピロバクターの本当の怖さは寧ろここにあります)

なお、カンピロバクターは熱に弱いため、内部まで加熱する(65度1分以上)ことで感染を防ぐことが可能です。
ただし、この菌は肉内部にもいたることが出きるため、表面の簡単な熱湯への湯通し、炙り程度では、カンピロバクターは死滅できないことを覚えておいたほうがいいでしょう。

串焼きやイカの塩辛など食べ4人が食中毒(カンピロバクター)

こちらも昨年末発生した食中毒事件です。
ここで抑えるべきことは、このケースのように、汚染源の鶏ではなく、二次汚染(クロスコンタミネーション)によって食中毒事件が発生することもある、ということです。
元来、カンピロバクターは鶏(あるいは豚、牛など)の腸内に棲息します。よってその解体のときに生じる汚染が、最初の感染源となります。
しかし汚染された鶏肉自体はしっかり中心まで加熱され、菌が死滅していたものの、しかしその調理段階で他のものに付着し、汚染していた、というケースが実はあるのです。
例えば汚染された鶏を調理したまな板や包丁、器などの器具をしっかり洗浄せず他の料理に使った場合、このような事態が生じます。
また同様に、汚染された肉を触れた手を洗わず(あるいは手袋を変えず)他のものに触れても、このようなことが生じることでしょう。

先のように、カンピロバクターは少量の菌量でも食中毒を発症させることが可能です。
よって自ずと触れただけでその料理をも汚染させ、食中毒の要因となりかねない食中毒菌です。
このことはご家庭においても十分生じる危険があるため、冬場といえどもどうぞご注意下さい。

まとめ

冬季、とくにこの年末年始は、食中毒が意外と起こりやすい時期でもあります。
皆様の健康管理は勿論のこと、手洗いは勿論、マスクの着用、食材の取り扱いにも、くれぐれも注意してください。

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