皆様、こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
今回も、ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」をお教えいたします。

今回は、「防虫管理計画」についてお話致しますね。

管理の「目的」と「目標」を明確にする

さて、前回は「リスクアセンスメント」に基づいて実施すべき「プレ対策」についてお話させていただきました。

これは「CAPDサイクル」の中での「A(Action):改善」にあたります。
「C(Check):評価」にあたる「リスクアセスメント」に対し、
その結果に対しての改善活動「A(Action):改善」として、「プレ対策」を実施した、というわけですね。

ですから次に、向かうべきは「P(Plan):計画」、
つまり「防虫管理計画のプランニング」というわけです。

さて、「管理」には、「目的」「目標」「方針」が必要です。
何のためにそれを「P(Plan):計画」するのか、という「目的」がないと、計画設計が立てられないからです。
そのため、まずはこの「目的」と「目標」について向かうことが必要です。

どんな計画でも、その根幹となる「目的」とその「目標」が重要です。
何故なら全てはそこにむかって、それを果たすべく、計画というものが立てられるからです。

勿論、工場の異物混入リスク、汚染リスクを減らしたい、などといった、防虫管理の前提となる「目的」は個々にあると思います。
そして実際のところ、この「目的」自体は防虫管理において、それほど多岐に及ぶわけではないでしょう。

ですがここで重要なのは、
ではその「目的」を果たしうるため、どのくらいを「目標」とすればいいか、
ということです。
何故なら、その「目標」は個々の状況によって各々違ってくるからです。

さあ、ここでようやく「目標」に向かい、各工場、各企業、それぞれ抱えている様々な実状と対峙することになるでしょう。
ここをしっかりと踏まえることが重要です。

すると、「目的」の下に、あなたなりの実状に合致した「目標」が必ず見えてくるはずです。
ですが既にあなたは「リスクアセスメント」を通して、工場の現状をしっかりと把握していることでしょう。
ですからここでは、その結果を踏まえて丈にあった「目標」を定めるべきです。
例えば、何もしていない受験生が東大を「目標」にいくら目指しても、そう簡単に現実には合格は出来ませんよね?
或いは、それ相応の相当な覚悟と、惜しみない努力というコストが必要ですよね。
少なくとも、であれば段階を追って基礎から一つずつ身にしていくしかないと思いませんか?
防虫管理だって基本的に変わりません。

「目標(上位目標)」の例
  • 現在構築している管理システムを、より高度なレベルにまでスパイラルアップさせる
  • 現在の防虫対策を、管理システムとして整備・再構築する
  • 新たに防虫管理の基礎を導入、新構築する
  • 場内の生息昆虫数を問題のないレベルにまでとにかく減らす など

 

「目標」を「上位目標」と「達成目標」に分類する

それではここで防虫管理の「目標」を整理していくことにしましょう。

まず、実際にあなたの工場において「管理」の「目的」を達成させるために必要な「目標」を考えましょう。
すると、各工場のレベルに沿った、先のような「目標」が挙げられると思います。

次に、それ自体を達成するための更なる下位的な「目標」、つまりは「達成目標」が必要になります。

「目標」を分類し、各々設定する
  • 上位目標
    目的を果たすために必要な目標
  • 達成目標
    上位目標を果たすために必要な目標

 

つまり、こういうことです。

少し難しいかもしれませんが、例えば「健康管理」、「食生活の自己管理」などで考えてみると判りやすいかもしれません。

「健康管理」という「管理」において、
(自分の体や生活環境という「管理対象」に対し)、
「ダイエットして美しく健康になる」という「目的」がそこにはあって、
ここでは「5kg減量」という「上位目標」が設定されたとします。
そしてその下に、それを果たすための「1日3食の摂取カロリー××kcal」といった下位的な「達成目標」が設定されます。

防虫管理で言えば、先のような「上位目標」を達成させるため、「月度の昆虫捕獲数」を設定する、或いは「月度清掃の実施」といった具合にです。

さて、ここで一つ押さえるべきことは、
管理において「目的」は(ある程度)揺るぎないものですが、「目標」は不変ではない、
ということです。
ある一定のスパンにおいて達成率は勿論のこと、それ自体の適切性や有効性が「評価」され、
場合によっては見直しすらも必要なものが「目標」です。
そのため、「目標」には具体性が必要ですし、また下位に向かえば向かうほど、その度合いが高まります。
つまりは「上位目標」に対して「達成目標」のほうが短期的であり、また数値化が細やかにされていく、ということです。

防虫管理の「目的」と「目標」について押さえるべきポイント
  • 「目的」は不変だが、「目標」は不変ではない
  • 「目的」に対し、「目標」はより評価・見直しが可能なもの
  • 「目的」は抽象性を含むが、「目標」はより具体性のあるもの
  • 「上位目標」がより長期評価なのに対し、「達成目標」は短期評価
  • 「目標」は下位に向かうほどより数値化されていく

 

このように「目標」を上下位で段階別に分類することで、何をどこまですべきなのかが明確化されていくことでしょう。

具体的に「上位目標」を設定する

さあ、それでは貴方の工場の「上位目標」を具体的に考えてみましょう。
既に行っているであろうリスクアセスメントの結果を、改めてご覧下さい。

Aゾーンの工場

このゾーンの工場は、既に一定レベル程度の防虫管理が整備されていると思います。
そこで、「上位目標」も当然ながら管理のスパイラルアップに向けられることでしょうし、それにあわせての管理目標においてもより高いものが実現可能なことでしょう。
当然、外部業者への管理委託においても、そうしたマネジメントシステムを効果的に機能できるような計画を設計すべきです。

Bゾーン、Cゾーンの工場

このゾーンの工場は、ある程度まではマネジメントシステム構築への取り組みがなされているものの、不足がある、あるいは効果的に機能していない、といった問題を抱えています。
ですからそれを踏まえて、防虫管理の整備や再構築などがまずはその「上位目標」となるでしょう。
現状の防虫管理計画の適切性確認や、モニタリングにおける新たな評価軸の設計をはじめとした、管理体制を含めた様々な見直し・検討がそこに含まれていくはずです。

Dゾーンの工場

このゾーンの工場は、防虫管理におよそ手つかずといった状況が想像されます。
その場合、管理以前に現状の昆虫の深刻な問題にあたることが必要になってくるでしょう。
と同時に、例えば委託業者に丸投げな防虫対策などがある場合は、その反省も踏まえて改めて取り組むべきでしょう。
まずは問題をなくしながら、段階を追っての管理体制構築が望まれます。

まとめ

防虫管理計画を立てるうえでその根幹となる「目的」と「目標」がお判りになったでしょうか。

防虫計画の設計にあたって
  • 「目的」を明確化させる
  • その「目的」を果たしうる「目標」(「上位目標」)を設定する
  • その「上位目標」を果たしうる「達成目標」を設定する

 

ここで一つ疑問が浮かぶことでしょう。
「上位目標」は判ったけれど、「達成目標」はどのように設定すればいいの?と。

これを説明する前に、一つ知っておくべき事柄があります。
それが、「評価基準値」というものであり、また「アラートレベル」「アクションレベル」という考え方です。
これはまた次回にお話するとしましょう。

では、今日はこの辺で。

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