皆様、こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。

プロに聞く、衛生管理&防虫管理Q&A。
今回は、時折見られるこのうような工場での防虫対策の質問に答えます。

質問:陰圧の工場で防虫管理をする方法は?

「工場が陰圧であるため、外部から外気と一緒に大量に虫が流入して、困っています。
何かよい対策はありませんでしょうか」

回答

うーん、我ながらこれはちょっと手強い問題ですねー。(笑)

しかし溶剤を扱う印刷工場や、多量に炊飯を行うような弁当工場など、こうした問題を抱えているところも少なくはないでしょう。

実際のところ、陰圧は非常に手強い防虫対策の強敵です。
何故なら、実は多くの昆虫は、外気の流入によって工場内へと侵入してくるからです。

しかもこの気流によって侵入する昆虫は、得てして微小なものが多い。
というよりは、自分で飛翔能力がないから気流によって移動するのです。
更に、微小なものが多いということは、少ない隙間からも容易に入ってきてしまう、ということです。
例えば、窓にメッシュを設置するとしても、よっぽど小さな目でないと防虫機能を果たしません。
一概に防虫機能が果たせるのは40メッシュ以上、と言われていますが(これでも相当細かいです)、これでも小さな昆虫は気流と一緒にすり抜けてしまうでしょうし、
(例えば、アザミウマ類など)
しかも、そうなると今度はメッシュへの根詰まりの問題が浮上する。

こうした微小な昆虫は、緑地由来のものが多いため、(特に春先など)多量に生息するから尚更タチが悪い。
あ、ついでに言うなら蒸散タイプの設置忌避薬剤(ムシコナーズなど)などは、この場合全く無意味です。
だって気流と一緒にどっかに流れてしまうでしょ?
少し考えればわかることです。

さあ、こうなるとかなり方法は限られてきます。
陰圧化している問題箇所がどこなのか、で話は全く変わってきますが、
少しばかりプロの防虫屋の手法をご紹介します。

1.「入れさせない」機能を設ける

やはり、基本戦略はこれに尽きます。
前室を設けて鼓動シャッターをインターロック構造にでもすれば、それが一番。
でもそれが出来れば苦労はしない、というところがほとんどでしょう。
ですから、そこはやはり工夫が必要です。

例えば、開口部に移動式の大きなついたてを立てる。
吸引された外気はそこにぶつかって、左右に流れます。
その左右の低い位置に、捕獲用のライトトラップを設置し、
入ってきた昆虫をそこで捕殺出来るようにする、というのはいかがでしょうか。
コツは、一旦どんと入った気流がぶつかり、流され、気流がたまる箇所を作ることです。
虫はそこに流されますので、それを捕獲すればいい。

しかも、この手法は意外と応用が利きます。
例えば、大型の印刷機などにもついたてを立て、それで囲んでしまえば(少なくとも外気側に立ててしまえば)昆虫の混入リスクは大幅に減少するでしょう。
事実、これで昆虫の混入が大きく減ったお客様がいらっしゃいました。

また防虫カーテンは効果がない、とするなら、隙間のない防虫シートなどで間仕切りしてもいいかもしれません。
例えば、場内に大型機械の移設などでしか開けないスチールシャッターや鉄扉などがある工場では、そこが外部侵入要因となっていることがあります。
工務店さんなどで防虫シートをマジックテープで脱着可能にして覆ってしまい、効果を出したお客様もいます。
(マジックテープでの脱着可能なら、消防上からもお咎めを受けないケースが多いようです)

2.場内に障壁を何カ所か作る

面白いもので、虫は場内に角が1つあるだけで、そこから先への拡散性が落ちるものです。
ましてやドア一枚で、防虫対策効果は大きく変わります。
搬入口の捕獲数が多いとしても、そこから中に進まないようにすればいい。

まず、場内ドアの開閉管理の徹底は最低限必要不可欠の急務です。
ドアの下や側面をゴムやブラシで塞いで隙間を無くす。
そして製造室のドアが開いている、などは言語道断、
場合によっては、それらのドアにベルやパトランプを設置し、従事者に解放状況を促す。
(ドアが開くと電流がオンになるスイッチなどもホームセンターにあります。)
そしてそのすぐ付近には、上と同様に侵入昆虫駆除のためのライトトラップを設置する。
これだけで製造室内のリスクは大きく軽減されるはずです。

3.室内の隙間を徹底的になくす

炊飯や高温調理などでの排気に、吸気が間に合わない。
そんな、吸排気バランスが崩れてしまって室内の差圧が陰圧化している場合もあるでしょう。

この場合は、徹底的に、隙間をなくす補修が必要となります。

さて。
ここにおいては、「徹底的」というのが、実は重要です。
とにかく、隙間という隙間を、徹底的になくす。
例えば、私が某大手医薬品工場で安全キャビネットによる陰圧化のための隙間対策を行ったときには、
それこそビス穴は勿論、パネルの合わせ目から灯火の設置部、果ては水道管パイプカバーのジョイントや電源コンセント周辺、非常灯の取付箇所までまで、これでもかというほどにシーリング処理したものです。

…とそこまでやれとはいいませんが(笑)、でも機密性を高めるのであれば、
例えば壁面巾木などは隙間だらけでしょうし、排煙窓なども隙間だらけだったりします。
不使用ドアなども養生テープやマスキングテープなどで止めてしまうほうがいういでしょう。
(ここら辺は消防の関係と照らし合わせてご検討ください)

一点だけ、アドバイスを。
こういった際に、意外と盲点になるのが、エアコンドレンです。
構造によりけりでしょうが、エアコンのドレンパイプって封水トラップ構造になっていないことが多く、その管内から虫、例えばチョウバエ類やノミバエ類などを吸い上げてしまっているケースが多いのです。
コバエ類の侵入要因が判らないとき、一度疑ってみてもいいでしょう。
割と高確率でビンゴするものです。

4.周辺環境の昆虫数を減らす

これも一つの有効な手段だと思います。

外周の緑地を極力離すとともに整備をまめに行い、排水溝もしっかり清掃する。
「4つのリスク対策」のうち、「侵入リスク対策」を変えられないのであれば「環境リスク対策」を減らす、という考え方ですね。

また、環境上やむないときは、外部に殺虫用の電撃式殺虫機を設置する、というやり方も無いわけではありませんが、
知識のない人がむやみやたらに置いてはかえって虫を周囲から呼んでしまい、大きく逆効果でしょう。
まずはやめておいた方が得策です。

5.大型の捕虫器を利用する

物理的なバリア性が難しいのであれば、機能的なバリア性を利用する。
モニタリング用の小型の捕虫器ではなく、もっと大型の強力な捕虫器を利用する、という手があります。
これはやり方が割と難しいのですが、しかし生息昆虫を減らす、という意味においては効果があります。

まとめ

以上、他にも手は各工場によって色々とあると思います。
エアシャワーや送風機で入ってくる外気を跳ね返したり(尤も、これでうまくいっている例は余り見ませんが)、
ライトコントロールを徹底したり(尤も、対費用効果を考えるとかなり微妙でしょうが)…。
うまい方法があったら、またここでご紹介します。

では、今日はこの辺で。

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