工場や店舗の防虫管理を最安で、そして確実に行いたい。でも何をすればいいかが判らない。
そんな工場や店舗はきっと多いことでしょう。でもそう思うのはごく当たり前の話です。だって皆さんは防虫管理の専門家じゃないのですから。そのためにぼくらのような専門家がいるのですから。
そこで、長年のプロであるぼくが、そんな「セルフ防虫管理」のやり方を教えましょう。
改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
以後よろしくお願いします。
- 「セルフ防虫管理」のメリットは、①低コスト、②防虫対策の知識がつくため、各段に衛生管理レベルがアップする、③問題発見が迅速化する(深刻な問題発生を阻止できる)、④無駄な投資をしなくてすむ、などである
- セルフ防虫管理にせよ、その基軸は「CAPDサイクル」である
- セルフ防虫管理にも、「防虫対策の極意」が有効である

目 次
委託防虫管理とセルフ防虫管理
工場・店舗などで防虫管理を行う場合、専門業者に依頼する「委託防虫管理」と、自分で行う「セルフ防虫管理」の二つがあります。
委託防虫管理とは、専門業者にお金を払って、何から何まで丸投げでお願いするものです。
一方でそれを自分で行う方法も、ないわけではありません。
確かに敷居はそれなりに高いですが、いったん確立してしまえば、あとは割と自分でできることだって少なくはないものです。
そうすれば、外部業者に支払う分のコストを抑えたり、あるいは別のことに投資することができます。
こうしたDIY(Do It Yourself)で行う防虫管理のことを、「自社防虫管理」、あるいは「セルフ防虫管理」といいます。
セルフ防虫管理のメリット
では「セルフ防虫管理」のメリットはなんでしょうか。
まず最初に、工場・店舗でセルフ防虫管理を行うメリットは、次の通りです。
- コストが安くすむ
- 防虫対策の知識がつき、各段に衛生管理レベルがアップする
- 問題発見が迅速化する(深刻な問題発生を阻止できる)
- 無駄な投資をしなくてすむ
何よりコストが安くすむ!ではどのくらい安くなるのか
さて。
「セルフ防虫管理」は、なんといってもコストがめっちゃくちゃ抑えられます。
例えば、一般的な店舗や従業員(パートさん含む)が20人以下の一般的な中小規模の食品工場だったとしても、大手専門業者への委託管理は年間でおよそ40~50万円くらいはかかるものです。
大手PCO業者で営業と技術担当をかつてやっていた身のぼくが実際にそういう見積を作って出していたのだから、絶対に間違いはありません。
ぶっちゃけますが、彼らにとってそれ以下の金額なら、はっきり言って、その契約自体がいりません。
大体、そんな利益率の低い仕事をするくらいなら、そのぶん違う割のいい仕事をするよ、というのが彼らの本音です。
小さな専門業者だって、せめて年間30万円は欲しいところでしょう。それ以下なら、普通は受けませんし、受けてもレベルに問題があると疑うべきです。
だって、これでもし問題が発生したら、赤字です。そんな契約を、一般企業がするわけないでしょ?だって、ぼくらもこれで生きているのです。
結論。
外部業者を雇えば、当然ながら高くコストがつく。
この当たり前のゆるぎない現実を、まずは受け入れましょう。
そして。
ランニングコストが年間40万円かかるということは、来年も、その翌年も、そのさらに先も、それだけかかり続ける、ということです。
つまり、この年間40万円は、基本的にずーっと付きまといます。
当たり前ですが、それ以下の金額だと、それ相応の低いサービスしか提供が出来ません。
これはもう、お金がかかるのだから仕方がありません。先にも申した通り、世の中、何かの対価以下にするのなら、それ相応を受けるしかないものです。
だって、あなたの工場やお店の商品を半額以下に安くしてずっと提供し続けろ、と言うお客さんがいたらどうしますか?
それでクオリティを維持できますか?
さらに、去年これだけ食べたから、来年から半額にしてくれ、再来年はもっと安くしてくれ、と言われたらどう思いますか?
専門業者に委託する、ということはそういうことです。
ここから脱するにはどうするか。
自分で力をつけて、自分で管理する。
これなら初期投資だけで済みますね。
これは正直、最初は結構大変です。
そりゃ業者にまかせっきりは確かに楽でしょう。だっていやな実務も、大概はやってくれるのですから、楽ができます。
ですが、自分でやれるならそれだけのコストが浮くわけです。
つまりはこれをどうとらえるか、でしょう。
そして実は、これは必ずしも不可能ではありません。やり方と工夫次第です。
で、その一番手っ取り早く、一番賢く、一番効率的なやり方を弊社が教えます、と言っているのです。

意外とバカにできない他のメリット
それから、しっかりと正しい手順を追って継続して行えば、多くの専門知識がつくことでしょう。
このことは間違いなく、工場・店舗の衛生管理を大きく高めます。
はっきり言いますが、外部業者に委託してまかせっきり、自分は何もせず問題が起これば人のせい、という工場・店舗はめちゃくちゃ!多いものです。
こうした工場・店舗は、毎月、高額を外部業者に払っていますが、衛生意識が全く養われないのでいつまでたっても衛生管理レベルは高くなりません。
業者に高額を払っているのに、よくならない。あまりにバカらしくて不思議な話に聞こえるかもしれませんが、こんな事例はそれこそ当たり前のように存在します。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、しっかりとしたセルフ防虫管理を行えば、そうした任せっぱなし工場・店舗と、明らかに衛生管理上の差別化ができます。
また自分で行えば、問題の発見も早くなります。
これも意外なように聞こえるかもしれませんが、考えてみればごく当たり前の話です。
外部業者は月に1回くらいしか来てくれません。
呼べば当然、別途お金が発生します。
でもあなたは工場・店舗にどのくらいいますか?
正しい知識をつければ、問題発見は絶対にあなたのほうが早くなります。
本当の話をしましょう。
ぼくらプロだって神様ではありません。ですから、防虫点検の際に「ヒアリング」という行為を行います。
要するに、現場で働いている人達に「最近虫を見ますか?」「どこでいつ、どんな風に見ますか?」と、その呼称の通り、聞いて廻るのです。
そしてそれを頼りに、作業を行います。現場の人に、情報をもらうのです。そして、その精度で防虫対策の効果が変わります。
これ、この業界では極めて常識です。
この意味、わかりますか?
結局現場にいる人こそが、それなりの生情報を持っているのです。ただその情報の活かし方が判らないだけなのです。

無駄なコストがなくなる理由
それと。
無駄な投資がなくなります。
これ、案外と重要です。
まず、下にも書いていきますが、セルフ防虫管理とは、あらゆる全てを自分で一切合切行う、というものではありません。
出来ることは自分で行い、出来ないこと、難しいことはお金を払って外部委託する。これがセルフ防虫管理です。
勿論、全部自分で行えばその分コストは抑えられます。
では出来ないこと、難しいことは何か。
後に書きますが、駆除施工などは外部に依頼したほうが効果的ということが多いです。
反面、こういうこと以外は、結構自分でできるものです。当然ですがそれが一番、コストが押さえられます。
それから業者から出てくる提案が本当に効果的かどうかがわかるようになります。
高額な機器を買ったり、過剰なサービスを頼んだり、不要とまでも言わずともそれほど効果のないものを結構業者は提案してくるものです。
なぜなら、ぼくもプロなのでよくわかりますが、実は多くの場合、それらが業者の大きな利益でもあるからです。
こうしたものを、セルフ防虫管理は極力避けることができます。
そもそもこうした専門業者は、「安かろう悪かろう」もあれば「高いけれどそれほどスキルがない」なんてこともしょっちゅうです。
安くてスキルがないのは当たり前。
それなりのスキルを求めるならやはり当然高くなります。
ましてや高くてスキルがない、なんて大損ですが、珍しいことではありません。
これらを避けたいのであれば、やはりできることは自分で行うのが一番でしょう。
一方でデメリットは、面倒くさい、結構手間がかかる、専門知識が求められる、素人の自己流になりやすい、などでしょうか。
もう少し詳しく、そして正直にぶっちゃけて、そのメリット、デメリットをまとめて書いてある記事がありますので、こちら↓を読んでみてください。
というか、これを読んでから自分の工場・店舗にはどちらが合うかをよく考えた上で選択すべきでしょう。

セルフ防虫管理を始める大まかな流れ
では、セルフ防虫管理はどうやればいいのか。
結論から伝えましょう。
セルフ防虫管理を始める大まかな流れは次の通りです。
ちなみにこれは、セルフであるか否かに関係なく、また施設の規模やグレードに関係なく、プロの防虫管理屋なら「防虫管理の流れ」として、どこでも行っていることがらです。
つまり、どんな工場・店舗でも基本的には必ず!例外なくこの流れを踏まえて防虫管理は導入され、進められています。
というか逆にこれを踏まえない管理はでたらめであると、プロ中のプロであるぼくが断言しましょう。
(異論があれば、誰でもいつでもどうぞ)
- 現状把握(リスクアセスメント)
- 事前改善(プレ対策)
- 管理の設計(目標設定、管理仕様の立案)
- モニタリングトラップの設置
- モニタリング結果の記録と評価
- 問題の対策改善と効果判定

防虫管理はCAPDサイクルで始めたほうがいい理由
では先の流れに沿って具体的にセルフ防虫管理をはじめていくとしましょう。
…とその前に。
どうしてこのような流れになっているのか。
それを簡単に説明します。
おっと、別にそこまで知らなくてもいいや、って人はこの項目は読み飛ばしていただいても結構ですが、その骨格には「PDCAサイクル」ならぬ「CAPDサイクル」があるのだってことだけ頭の片隅に覚えておいてください。
まず。
「管理」というのは、「目的」、「目標」、「方針」のもとで「PDCAサイクル」を回すことです。これは防虫管理も変わりません。
ですからこれに沿って管理を進めていく必要があります。
ただし。
はじめて管理を導入する際には、「CAPDサイクル」を用いたほうが、むしろスムーズです。
つまり、
①「Check(評価確認)」=現状を知って、
②「Action(是正)」=事前に「問題」を直してから、
③「Plan(計画)」=管理内容を決めて、
④「Do(実行)」=それを行う。
ということです。
で、その後それを「Check(評価確認)」し、そのまま「PDCAサイクル」へと移行すればいいのです。

さて、この「防虫管理のCAPDサイクル」を頭に入れて再度「セルフ防虫管理」の流れを見てみると、なるほど、と納得できるはずです。
つまり、このようになっているわけです。
- 現状把握(リスクアセスメント)=「Check(評価確認)」
- 事前改善(プレ対策)=「Action(是正)」
- 管理の設計(目標設定、管理仕様の立案)=「Plan(計画)」
- モニタリングトラップの設置=「Do(実行)」
- モニタリング結果の記録と評価=「Check(評価確認)」
- 問題の対策改善と効果判定=「Action(是正)」
ね?
わかりますかね。
なお、「CAPDサイクル」に関しては、別記事を書いてあるので、こちらも参考にしてみてください。
…と、ここまでを踏まえながら、いよいよそれぞれの内容を解説していきます。

セルフ防虫管理の進め方
それでは一つずつ簡単に説明していきましょう。
現状把握(リスクアセスメント)
まず最初にすべきは、「CAPDサイクル」のうちの最初の「Check(評価確認)」、つまり自分の工場・店舗の「現状」を知ることです。
これはできたらトラップを設置して行うほうがいいでしょう。
1週間、ないしは2週間ほどトラップを設置して、現状がどのような状況であるか、問題があるのかないのか、どんな問題が潜在的にあるのか、などを初期データとして集積するのです。
この初期診断調査を、専門的には「リスクアセスメント」といいます。
このリスクアセスメントの結果によって、まずは管理云々の前に緊急的に、今すぐ取り組まなければいけない深刻な問題があるかどうかがわかります。
例えば、大量に虫が発生しているから駆除しておこう、などですね。この場合、事前に駆除施工や清掃、工事による補修などといった事前改善、「プレ対策」が必要になるかもしれません。
つまり、リスクアセスメントを行う目的は、「現状の把握」と「緊急的な問題の有無を確認する」ことです。
- 現状の把握
- 緊急的な問題の確認(プレ対策の必要性の有無)
事前改善(プレ対策)
リスクアセスメントの結果に基づいて、緊急的な問題の対策を行います。
例えば発生している虫(ゴキブリなど)があれば、最初に駆除しておくなどをして、問題をリセット・軽減しておくのです。
管理を始める前の事前改善という意味で、「プレ対策」といいます。
これは「CAPDサイクル」のうち、「Check(評価確認)」に続いての「Action(是正)」に当たります。
管理の設計(目標設定、管理仕様の立案)
さあ、いよいよ「Plan(計画)」、具体的な管理仕様の設計です。
セルフ防虫管理を進めるためには、その管理仕様を作らなければいけません。
つまり、何を、どうやって行えばいいのか、を決める、ということです。
ここで決めるべき内容は、次のようなものです。
- モニタリング手法(トラップ種、トラップ数、トラップ設置個所)
- モニタリング頻度(トラップ交換頻度)
- 昆虫駆除作業時の使用薬剤選定
まずセルフ防虫管理では、自分でモニタリングを行わなくてはいけません。
ですからトラップの種類や数、設置場所を決めていく必要がありますし、その交換頻度も自分で決めておく必要があります。
でも、別段難しく考える必要はありません。
大体目安として各部屋1~3ポイント、その程度の使い捨てトラップをまずは置いてみて、月1程度の頻度で交換していけばいいのです。
あとは進めていくうちに何となくわかってくるもの。
プロでも、やっぱりこっちのがいいかな、と変えるケースはままあるものです。
モニタリングトラップの設置
先の管理設計に従って、実際にトラップを設置します。
モニタリング結果の記録と評価
1か月後、モニタリングトラップを回収し、その結果を記録します。
記録内容は、「トラップの中につかまった虫のカウント数」と、「同じ虫が多量に捕獲されていないか」の二つです。
なぜなら、捕獲数が多ければ外から虫が多量に外部侵入していることを意味しますし、「同じ虫が多量に捕獲されている」ことはその虫が内部発生していることになるからです。
そう、昆虫は「外部侵入要因」か「内部発生要因」かで考える、これが「防虫対策の極意その1」でしたね!

問題の改善と効果判定
モニタリングの結果、問題があれば、ここで対策を実施します。
防虫対策というのは、ただやみくもにやればいいというものではありません。
その結果に基づいて行われるのが原則です。
では、どんな対策が必要なのか。
ここで、「防虫対策の極意その2」なのです。
いいですか、全ての防虫対策は、この4つしかありません。
ですから、この4つのどこに問題があるかを考えれば、自ずとすべき対策が見えてくるはずです。
- 虫を寄せない(極力減らす):「環境リスク対策」
- 虫を入れない:「侵入リスク対策」
- 入った虫はすぐ殺す:「拡散(生息)リスク対策」
- 入った虫を増やさない:「発生リスク対策」

おっと、対策を行ったら必ず「効果判定」を行いましょう。
これも簡単。対策を行った場所のすぐ近くにトラップを置いておけばいいのです。
これに虫がつかまらなくなったり、数が減っていれば対策の効果あり、ということです。
それと。
これ重要なんですが、セルフ防虫管理では、ここだけ専門業者に委託する、という手もあります。
というか、そのほうが効果的かと思います。
つまり、ここまでは自分でできますが、問題個所のみ専門業者に解決をお願いする、ということです。
専門業者には、専門家として培ってきたそれなりのスキルと経験値があります。
ですからそれを利用しない手はありません。
できることは自分で行い、できないことを専門業者に依頼する。
これこそがセルフ防虫管理のポイントです。

あなたのセルフ防虫管理をお手伝いします
さて、流れは分かったけれど、具体的にどうすればいいかわからない。
そんな方は、弊社にご相談ください。
これまでの内容に加え、基礎的な防虫管理知識の講習と、各種必要なサポート、問題解決まであなたの虫の悩みを解決するサービスをそろえています。
弊社では、ぼくたちのようなプロが指導、設計したセルフ防虫管理を推奨しています。
つまり導入時には設計をサポートしノウハウを与え、あとは自分でローコストに管理を継続していく、というやり方です。
これだと一番プロの技量が必要な初期設計時にだけプロの力を使い、あとは自分で行っていくことができます。
つまり、「セルフ防虫管理をベースにしながら、プロによる委託防虫管理のいいとこどりができる」ということです。
これはぶっちゃけ、ぼくらにもメリットがあります。
それはプロでなくてもできるルーチン作業を省く、ということです。
だって、トラップ回収なんて最初に作業内容を教えれば、バイトだって出来る作業です。
というか実際に、大手専門業者は、これらを下請けに外注したり、バイトを雇って作業させています。
他ならないぼくが昔いた会社がそうでした。だって何のテクもいらないルーチン作業なんだから、そりゃそうするのが当たり前です。
で、それを専門業者に外部委託すれば、当然無駄なコストがかかります。
プロが出張ってきてそれを行うのですから、当然です。
勿論、セルフ防虫管理は、それなりに手間もかかります。
しかしそれ以上に、プロに払うコストを削減しながら、それ以上の効果を得ることも可能です。
また継続管理においても、必要があればサポートの依頼が可能です。
つまり、もし問題が起きたらその段階でお金を払ってプロに依頼すればいいのです。
尤も、こうした管理は、様々な選択のなかの一つです。
ですから、こういう手もある、としてどうぞご検討ください。
なお、弊社のメインサービスである「セルフ防虫管理サポートプラン」はこちらでより詳しく説明しておりますので、是非ごらんください。
【セルフ防虫管理サポートプランとは】

・どうやって防虫管理・衛生管理をすればいいか判らない
・今やっている防虫管理・衛生管理が正しいか判らない
・何か問題が発生したときの対応が判らない
・取引先や保健所の査察が不安だ
・でも余りコストもかけられない
だったら貴方が防虫・衛生管理のプロになればいいのです!
- 私達は、どんな工場、お店の方でも防虫管理・衛生管理のプロレベルに育成することが出来ます。
- 何故なら、防虫管理・衛生管理のプロとは、基礎知識に加えて「正しい管理の仕組み」を作れる能力を持つ者のことだからです。
この「管理の仕組み作り」を知るこそが、防虫管理・衛生管理のプロへの道なのです。 - そんな防虫管理・衛生管理のプロを育成し広めることで、日本の「食の安全安心」を、さらにより広く、より高くさせることが私たちの使命だと信じています
- どうですか?
そんな防虫管理・衛生管理のプロにあなたもなって、本当の「食の安全安心」を私達と一緒に広げていきませんか?
